約2年間の病悩期を経て腹腔鏡下手術によって診断,治療しえた横行結腸嵌頓成人Morgagni孔ヘルニアの1例

症例は80歳女性。胸痛を主訴に近医受診,狭心症と診断された。当院循環器科紹介後も狭心症として経過観察されていた。翌年心窩部痛にて当院救急外来受診,横隔膜ヘルニアへの横行結腸嵌頓と診断した。同日緊急手術とし,腹腔内を観察するとMorgagni孔ヘルニアを認め,腹腔鏡下にメッシュを用いて修復し腹膜で完全に被覆した。本例は狭心症の診断にて約2年間の病悩期を経て横隔膜ヘルニアと診断された。本疾患は胸部症状を訴えることも多く,循環器疾患との鑑別が困難であり,胸痛などを主訴とする場合,横隔膜ヘルニアの鑑別は必要である。本例では,腹腔鏡下手術で低侵襲な治療を施行しえたため,早期に軽快退院でき,現在まで再発を...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 31; no. 4; pp. 651 - 654
Main Authors 齊藤, 健太, 田中, 守嗣, 早川, 哲史, 宮井, 博隆, 野澤, 雅之, 佐藤, 崇文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2011
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.31.651

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Summary:症例は80歳女性。胸痛を主訴に近医受診,狭心症と診断された。当院循環器科紹介後も狭心症として経過観察されていた。翌年心窩部痛にて当院救急外来受診,横隔膜ヘルニアへの横行結腸嵌頓と診断した。同日緊急手術とし,腹腔内を観察するとMorgagni孔ヘルニアを認め,腹腔鏡下にメッシュを用いて修復し腹膜で完全に被覆した。本例は狭心症の診断にて約2年間の病悩期を経て横隔膜ヘルニアと診断された。本疾患は胸部症状を訴えることも多く,循環器疾患との鑑別が困難であり,胸痛などを主訴とする場合,横隔膜ヘルニアの鑑別は必要である。本例では,腹腔鏡下手術で低侵襲な治療を施行しえたため,早期に軽快退院でき,現在まで再発を認めていない。横隔膜ヘルニアに対する腹腔鏡下修復術は安全かつ有用な術式と考えられる。横隔膜ヘルニア修復術に関する諸問題についても検討し,文献的考察を加えて報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.31.651