上腸間膜動脈塞栓症6例の検討

上腸間膜動脈塞栓症(SMA塞栓症)は,診断に難渋することが多く,治療成績もいまだ不良であるが,手術を回避している症例も散見される。今回われわれは,当科で経験したSMA塞栓症に関し,その診断と治療について検討した。最近10年間に当科で経験した,SMA塞栓症6例を対象とした。手術は5例に施行し,4例に腸管切除術を施行した。4例ともに短腸症候群をきたしたが,そのうち3例が在宅中心静脈栄養法(home parenteral nutrition:HPN)を併用して退院した。非手術例は,発症後2時間で血管撮影検査を施行し,塞栓溶解療法が奏功した。SMA塞栓症は診断に難渋する疾患であり,手術では多くが大量の...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 30; no. 6; pp. 741 - 745
Main Authors 長谷川, 繁生, 水谷, 雅臣, 平井, 一郎, 蜂谷, 修, 木村, 理, 野村, 尚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2010
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.30.741

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Summary:上腸間膜動脈塞栓症(SMA塞栓症)は,診断に難渋することが多く,治療成績もいまだ不良であるが,手術を回避している症例も散見される。今回われわれは,当科で経験したSMA塞栓症に関し,その診断と治療について検討した。最近10年間に当科で経験した,SMA塞栓症6例を対象とした。手術は5例に施行し,4例に腸管切除術を施行した。4例ともに短腸症候群をきたしたが,そのうち3例が在宅中心静脈栄養法(home parenteral nutrition:HPN)を併用して退院した。非手術例は,発症後2時間で血管撮影検査を施行し,塞栓溶解療法が奏功した。SMA塞栓症は診断に難渋する疾患であり,手術では多くが大量の腸管切除術を必要とし,短腸症候群をきたしている。短腸症候群でもHPNの使用により,生存可能な症例もある。しかし,発症からの時間と症例では,手術を回避できる可能性もある。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.30.741