下部胆管癌と十二指腸乳頭部癌の同時性重複癌の1例

症例は74歳,女性.腹部超音波検査にて総胆管および肝内胆管の拡張を認め紹介となった.腹部症状および黄疸は認めず,上部消化管内視鏡検査で十二指腸乳頭部は腫大し,不整な陥凹を伴う隆起性病変を認めた.腹部造影CTでは十二指腸乳頭部から下部胆管にかけて造影効果を有する腫瘤を認めた.胆管浸潤を伴う十二指腸乳頭部癌と診断し膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的検査では,下部胆管と十二指腸乳頭部にそれぞれ腫瘤を認め,いずれも中分化型管状腺癌であったが,組織学的に両者の間に連続性は認めなかった.免疫染色においてCEA染色にて両者の間に明らかな染色性の違いを認め,十二指腸乳頭部癌と下部胆管癌の同時性重複癌と...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 12; pp. 3135 - 3139
Main Authors 和田, 幸之, 龍, 知記, 才津, 秀樹, 高見, 裕子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.72.3135

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Summary:症例は74歳,女性.腹部超音波検査にて総胆管および肝内胆管の拡張を認め紹介となった.腹部症状および黄疸は認めず,上部消化管内視鏡検査で十二指腸乳頭部は腫大し,不整な陥凹を伴う隆起性病変を認めた.腹部造影CTでは十二指腸乳頭部から下部胆管にかけて造影効果を有する腫瘤を認めた.胆管浸潤を伴う十二指腸乳頭部癌と診断し膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的検査では,下部胆管と十二指腸乳頭部にそれぞれ腫瘤を認め,いずれも中分化型管状腺癌であったが,組織学的に両者の間に連続性は認めなかった.免疫染色においてCEA染色にて両者の間に明らかな染色性の違いを認め,十二指腸乳頭部癌と下部胆管癌の同時性重複癌と診断された.胆道系重複癌の報告例は少なく,またそのほとんどは胆管癌と胆嚢癌の重複例であり,胆管癌と十二指腸乳頭部癌の重複癌はきわめてまれである.若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.3135