乳癌術後単発性肝転移に対する腹腔鏡補助下肝部分切除術によって長期生存が得られている1例

乳癌肝転移は多発・多臓器転移を伴うことが多く,予後不良で外科的切除の非適応とされることが多い.今回,乳癌術後単発性肝転移に対し手術を施行し長期生存が得られている1例を経験したので報告する.症例は62歳,女性.左D領域に1.5 cmの腫瘤を認め乳癌が否定できず乳房部分切除術を施行した.病理検査でinvasive ductal carcinoma,ER(+),PgR(+),HER2(−)であったため,術後残存乳房・腋窩照射,アナストロゾールによるホルモン療法を施行した.術後1年目の腹部造影CT検査で肝S8に3 cmの腫瘤を認めた.転移性肝癌と診断し腹腔鏡補助下肝部分切除術を施行した.術後化学療法は...

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Published in岩手医学雑誌 Vol. 71; no. 1; pp. 29 - 34
Main Authors 須藤, 隆之, 菅井, 有, 有吉, 佑, 梅邑, 晃, 佐々木, 章, 藤原, 久貴, 佐藤, 綾香, 新田, 浩幸, 上杉, 憲幸, 石田, 和之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 岩手医学会 01.04.2019
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ISSN0021-3284
2434-0855
DOI10.24750/iwateishi.71.1_29

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Summary:乳癌肝転移は多発・多臓器転移を伴うことが多く,予後不良で外科的切除の非適応とされることが多い.今回,乳癌術後単発性肝転移に対し手術を施行し長期生存が得られている1例を経験したので報告する.症例は62歳,女性.左D領域に1.5 cmの腫瘤を認め乳癌が否定できず乳房部分切除術を施行した.病理検査でinvasive ductal carcinoma,ER(+),PgR(+),HER2(−)であったため,術後残存乳房・腋窩照射,アナストロゾールによるホルモン療法を施行した.術後1年目の腹部造影CT検査で肝S8に3 cmの腫瘤を認めた.転移性肝癌と診断し腹腔鏡補助下肝部分切除術を施行した.術後化学療法は希望されずレトロゾールを5年間内服し,術後7年経過し無再発生存中である.乳癌肝転移であっても,oligometastasisの場合には外科的介入による生命予後改善の可能性があると思われた.
ISSN:0021-3284
2434-0855
DOI:10.24750/iwateishi.71.1_29