腸回転異常症が発症の誘因と考えられたS状結腸ストーマ狭窄の1例

症例は83歳, 女性。約2年前に肛門Paget病で腫瘍切除術を受けたが, その後肛門機能不全を生じたためS状結腸に人工肛門を造設した。今回, 便秘・腹満を主訴に外来を受診した。大腸イレウスを呈するとともに, 指診でストーマ入口部から3cm口側に狭窄を認め, 緊急入院となった。大腸内視鏡検査で狭窄部腸管に全周性の潰瘍を認め, 同部生検で虚血性腸炎の所見が得られた。一旦イレウスは解除したが, 腸管の瘢痕性狭窄が進行する可能性が高いと判断し, 入院3週間後に手術を施行した。腸回転異常症の一種である結腸の固定異常を認め, ストーマの腹壁固定部の口側腸管が時計回りに約90度捻れ, 同部に大網が癒着してい...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 27; no. 4; pp. 645 - 649
Main Authors 鈴木, 英之, 佐々木, 順平, 鶴田, 宏之, 田尻, 孝, 石川, 義典, 古川, 清憲, 秋谷, 行宏, 松本, 智司, 寺西, 宣央, 菅, 隼人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2007
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.27.645

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Summary:症例は83歳, 女性。約2年前に肛門Paget病で腫瘍切除術を受けたが, その後肛門機能不全を生じたためS状結腸に人工肛門を造設した。今回, 便秘・腹満を主訴に外来を受診した。大腸イレウスを呈するとともに, 指診でストーマ入口部から3cm口側に狭窄を認め, 緊急入院となった。大腸内視鏡検査で狭窄部腸管に全周性の潰瘍を認め, 同部生検で虚血性腸炎の所見が得られた。一旦イレウスは解除したが, 腸管の瘢痕性狭窄が進行する可能性が高いと判断し, 入院3週間後に手術を施行した。腸回転異常症の一種である結腸の固定異常を認め, ストーマの腹壁固定部の口側腸管が時計回りに約90度捻れ, 同部に大網が癒着していた。ストーマと共に狭窄部腸管を切除し人工肛門を再造設した。本症例は腸管の先天性固定異常のため, 便の重みによりストーマの腹壁固定部の口側結腸に捻れと, それに伴う慢性的な血流障害が生じてストーマ狭窄が発生したと推定された。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.27.645