傍ストーマヘルニアに伴う絞扼性イレウスの1例

症例は80歳,男性。1972年に直腸癌のためMiles手術を施行,現在は慢性腎不全のために,外来にて血液透析を施行されている。2007年12月26日から腹痛が出現し,近医を受診し便秘と診断されたが,翌日も腹痛が持続するためイレウスの診断で入院となった。入院後も腹部所見の改善がなく,ストーマ周囲の膨隆と発赤が出現してきたため,傍ストーマヘルニアを疑い検査を施行した。腹部CT検査で,ストーマ近傍腹壁内に腸管の嵌頓を認めたため,緊急手術を施行した。小腸が絞扼されて壊死に陥っていたので,これを切除し吻合した。全身状態や汚染手術,腹腔内の癒着を考慮して,ヘルニア門の単純縫縮のみとし,ストーマのreloc...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 28; no. 6; pp. 855 - 859
Main Authors 鈴木, 龍児, 高屋, 快, 北村, 道彦, 谷村, 武宏, 梅邑, 晃
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2008
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.28.855

Cover

More Information
Summary:症例は80歳,男性。1972年に直腸癌のためMiles手術を施行,現在は慢性腎不全のために,外来にて血液透析を施行されている。2007年12月26日から腹痛が出現し,近医を受診し便秘と診断されたが,翌日も腹痛が持続するためイレウスの診断で入院となった。入院後も腹部所見の改善がなく,ストーマ周囲の膨隆と発赤が出現してきたため,傍ストーマヘルニアを疑い検査を施行した。腹部CT検査で,ストーマ近傍腹壁内に腸管の嵌頓を認めたため,緊急手術を施行した。小腸が絞扼されて壊死に陥っていたので,これを切除し吻合した。全身状態や汚染手術,腹腔内の癒着を考慮して,ヘルニア門の単純縫縮のみとし,ストーマのrelocationやメッシュによる修復は行わなかった。術後経過は良好で,再発もなく経過観察中である。傍ストーマヘルニア嵌頓症例の報告は本邦で11例とまれであるが,ストーマを有する急性腹症症例では,つねに傍ストーマヘルニア嵌頓を念頭におき,適切な外科的治療を選択する必要がある。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.28.855