肝後区域胆管が胆嚢に合流する胆管走行異常を伴っていた壊死性胆嚢炎の1例

われわれは肝後区域胆管が胆嚢に合流するまれな胆管走行異常を伴った急性壊死性胆嚢炎症例を経験したので,文献的考察を加え報告する。症例は42歳男性。倦怠感,発熱を主訴に当院の救急外来を受診した。画像所見より壊死性胆嚢炎と診断し,緊急開腹手術を行った。胆嚢体部の剥離の際,胆嚢床側から胆汁漏出を認めた。術中造影で肝後区域胆管からの胆汁漏出と判明し,後区域胆管が胆嚢に合流する胆管走行異常を伴っていたものと診断した。胆嚢摘出後に挙上空腸脚と後区域胆管を吻合し,Roux-en-Y法で胆道再建を施行した。経過良好で術後21日目に退院した。術後9ヵ月の現在,胆管炎なく,社会復帰している。胆道系の緊急手術では術前...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 30; no. 4; pp. 591 - 594
Main Authors 神藤, 修, 松本, 圭五, 伊藤, 靖, 宇野, 彰晋, 尾崎, 裕介, 落合, 秀人, 龍野, 玄樹, 鈴木, 昌八
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2010
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.30.591

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Summary:われわれは肝後区域胆管が胆嚢に合流するまれな胆管走行異常を伴った急性壊死性胆嚢炎症例を経験したので,文献的考察を加え報告する。症例は42歳男性。倦怠感,発熱を主訴に当院の救急外来を受診した。画像所見より壊死性胆嚢炎と診断し,緊急開腹手術を行った。胆嚢体部の剥離の際,胆嚢床側から胆汁漏出を認めた。術中造影で肝後区域胆管からの胆汁漏出と判明し,後区域胆管が胆嚢に合流する胆管走行異常を伴っていたものと診断した。胆嚢摘出後に挙上空腸脚と後区域胆管を吻合し,Roux-en-Y法で胆道再建を施行した。経過良好で術後21日目に退院した。術後9ヵ月の現在,胆管炎なく,社会復帰している。胆道系の緊急手術では術前に十分な胆道系の検索が行えるとは限らない。必要な場合には躊躇することなく,胆道造影により確認することが術前予測不能な合併症を防ぐために重要である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.30.591