外傷性鈍的肝損傷183例の治療経験に基づく生理学的,解剖学的指標によるNon-operative managementの新しい適応

外傷性肝損傷におけるNon-operative management(NOM)は1990年代から注目され始め,現在では治療選択の一つとなっている。しかしその適応と限界についてはいまだ十分な議論がなされていない。われわれは2001年から2008年までの8年間に経験した183例の外傷性鈍的肝損傷の臨床データを分析し,従来用いられてきた循環動態の変化という生理学的指標に基づいたNOMの適応を見直し,肝および肝周囲の損傷部位という解剖学的指標を考慮に入れた新たなNOMの適応を2009年から実践している。肝損傷に対する開腹術の術式選択の際に必要とされる解剖学的評価をNOMの適応の中に組み込むことは,今ま...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 31; no. 4; pp. 629 - 635
Main Authors 松本, 昭憲, 落合, 高徳, 篠原, 一彰, 飯田, 道夫, 山崎, 繁, 熊谷, 洋一, 熊田, 芳文, 横山, 秀之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2011
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.31.629

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Summary:外傷性肝損傷におけるNon-operative management(NOM)は1990年代から注目され始め,現在では治療選択の一つとなっている。しかしその適応と限界についてはいまだ十分な議論がなされていない。われわれは2001年から2008年までの8年間に経験した183例の外傷性鈍的肝損傷の臨床データを分析し,従来用いられてきた循環動態の変化という生理学的指標に基づいたNOMの適応を見直し,肝および肝周囲の損傷部位という解剖学的指標を考慮に入れた新たなNOMの適応を2009年から実践している。肝損傷に対する開腹術の術式選択の際に必要とされる解剖学的評価をNOMの適応の中に組み込むことは,今までの議論でかけていた因子である。損傷部位の解剖学的評価は循環動態が不安定なためにNOMから開腹術へ移行する際にも必須で,外傷性肝損傷に対する治療戦略の確立の際に根本となるものである。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.31.629