肺動脈カテーテル挿入操作による右室心尖部仮性瘤形成が疑われた1症例

88歳女性,Stanford A型大動脈解離に対して緊急で上行大動脈置換術が行われた。術後胸部造影CTおよび右室造影検査により右室心尖部仮性瘤形成を認め,肺動脈カテーテル挿入操作が原因として疑われた。保存的加療の方針となり,手術から半年後の胸部造影CT検査で仮性瘤の消失を認めた。右室仮性瘤形成は肺動脈カテーテル挿入における極めて稀な合併症であり,かつ致死的となりうる合併症である。肺動脈カテーテルの挿入においては,右室仮性瘤形成も含めた心筋損傷の可能性を念頭に置き,リスクが高い症例ではカテーテル心室内操作の過剰な繰り返しを避け,肺動脈内への誘導が困難な場合は撤退も考慮に入れるべきである。さらに習...

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Published inCardiovascular Anesthesia Vol. 28; no. 1; pp. 113 - 117
Main Authors 柚木, 一馬, 米澤, 侑汰, 野住, 雄策, 美馬, 裕之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会 01.09.2024
日本心臓血管麻酔学会
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Summary:88歳女性,Stanford A型大動脈解離に対して緊急で上行大動脈置換術が行われた。術後胸部造影CTおよび右室造影検査により右室心尖部仮性瘤形成を認め,肺動脈カテーテル挿入操作が原因として疑われた。保存的加療の方針となり,手術から半年後の胸部造影CT検査で仮性瘤の消失を認めた。右室仮性瘤形成は肺動脈カテーテル挿入における極めて稀な合併症であり,かつ致死的となりうる合併症である。肺動脈カテーテルの挿入においては,右室仮性瘤形成も含めた心筋損傷の可能性を念頭に置き,リスクが高い症例ではカテーテル心室内操作の過剰な繰り返しを避け,肺動脈内への誘導が困難な場合は撤退も考慮に入れるべきである。さらに習慣的な肺動脈カテーテルの挿入を行っている場合は肺動脈カテーテルの適応も再考すべきである。
ISSN:1342-9132
1884-7439
DOI:10.11478/jscva.2023-3-015