ガイドラインにのっとった急性胆嚢炎に対する腹腔鏡下手術の検討
胆嚢結石による急性胆嚢炎について,当施設でのガイドラインによる影響と適合性について自験例116例を検討した。ガイドライン導入後は,治療に関して,待機手術から早期手術を前提とした治療方針へと徐々に変化した。このため入院後の手術待機時間は平均16.8日であったのに対し2008年以降は5.0日と有意に短縮し,早期手術例も5%から32.5%へと増加を認めた。また,中等症,重症に対する治療も早期手術を優先するためPTGBDの施行率は減少した。ガイドラインによる重症度判定の適合性を検証するため,重症度による手術時間と出血量を比較した。手術時間は軽症と中等症では有意に中等症で延長し,出血量は重症度が上がるに...
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Published in | Nihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 30; no. 3; pp. 437 - 441 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
2010
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine |
Subjects | |
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ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.30.437 |
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Summary: | 胆嚢結石による急性胆嚢炎について,当施設でのガイドラインによる影響と適合性について自験例116例を検討した。ガイドライン導入後は,治療に関して,待機手術から早期手術を前提とした治療方針へと徐々に変化した。このため入院後の手術待機時間は平均16.8日であったのに対し2008年以降は5.0日と有意に短縮し,早期手術例も5%から32.5%へと増加を認めた。また,中等症,重症に対する治療も早期手術を優先するためPTGBDの施行率は減少した。ガイドラインによる重症度判定の適合性を検証するため,重症度による手術時間と出血量を比較した。手術時間は軽症と中等症では有意に中等症で延長し,出血量は重症度が上がるに従い増加した。重症度は手術時間,出血量に影響を与え,手術の困難度を予想するのに役立つものと思われた。ガイドラインの推奨する早期での腹腔鏡下胆嚢摘出術を,待機手術と比較すると,手術時間,出血量,開腹移行率,術後在院期間は有意な差は認められなかったが,全入院期間は早期手術で有意に短縮した。また,手術時間3時間以上または出血量300mL以上の手術困難例は早期,待機手術両者とも約16%で有意差は認められなかった。ガイドライン導入により当施設での急性胆嚢炎に対する診療は大きく変化した。早期手術でも開腹移行,合併症の頻度は待機手術に遜色なく,早期治療が可能であり,今後,ガイドラインに沿って早期手術がさらに普及するものと思われる。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.30.437 |