成人特発性胃破裂の1例

特発性胃破裂の1例を経験したので報告する。症例は17歳の男性で, 前日からの上腹部痛の増悪を主訴に外来を受診し, 腹部に筋性防御と反跳痛を認めた。X線・CTでは腹腔内遊離ガスを認め, 消化管穿孔に伴う汎発性腹膜炎と診断し, 緊急手術を施行した。胃体部前壁小彎側に約5cmの裂創を認めた。破裂部周囲の胃粘膜は発赤・浮腫状ではあったが潰瘍形成等は認めず, 単純縫合閉鎖術, 腹腔ドレナージ術を行った。術後の上部消化管内視鏡検査では破裂部に一致した瘢痕と食道裂孔ヘルニアを認めた。潰瘍, 癌, 酸・アルカリの内服, 外傷などの原因の明らかでないものが特発性胃破裂とされ, 本邦では小児例を除くと22例の報告...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 27; no. 4; pp. 639 - 643
Main Authors 新保, 雅宏, 森田, 誠市, 山岸, 文範, 塚田, 一博, 田澤, 賢一, 吉田, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2007
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.27.639

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Summary:特発性胃破裂の1例を経験したので報告する。症例は17歳の男性で, 前日からの上腹部痛の増悪を主訴に外来を受診し, 腹部に筋性防御と反跳痛を認めた。X線・CTでは腹腔内遊離ガスを認め, 消化管穿孔に伴う汎発性腹膜炎と診断し, 緊急手術を施行した。胃体部前壁小彎側に約5cmの裂創を認めた。破裂部周囲の胃粘膜は発赤・浮腫状ではあったが潰瘍形成等は認めず, 単純縫合閉鎖術, 腹腔ドレナージ術を行った。術後の上部消化管内視鏡検査では破裂部に一致した瘢痕と食道裂孔ヘルニアを認めた。潰瘍, 癌, 酸・アルカリの内服, 外傷などの原因の明らかでないものが特発性胃破裂とされ, 本邦では小児例を除くと22例の報告に止まる。発症機序には胃の過膨張と嘔吐が関連することが多いが, 自験例では過膨張がみられず, 食道裂孔ヘルニアの存在と嘔吐が原因と考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.27.639