慢性鼻副鼻腔炎を伴った IgG4 関連疾患の4例

IgG4 関連疾患は, 高 IgG4 血症, 組織への IgG4 陽性形質細胞浸潤, 高度の線維化が特徴である全身性慢性炎症性疾患であり, 耳鼻咽喉科領域においてもさまざまな臓器症状を呈する。 頭頸部領域における IgG4 関連疾患は Mikulicz's 病, Küttner 腫瘍, Riedel 甲状腺炎などが挙げられるが, 近年 IgG4 関連疾患に伴う鼻副鼻腔病変の報告が増えている。 われわれが経験した慢性鼻副鼻腔炎を伴った IgG4 関連疾患4例について報告する。 症例1 (47歳男性) と症例2 (49歳男性) は, 慢性鼻副鼻腔炎として手術を行ったが, その数年後に他臓...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 63; no. 5; pp. 206 - 213
Main Authors 嶋村, 洋介, 弦本, 有香, 石井, 正則, 月舘, 利治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.10.2020
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Summary:IgG4 関連疾患は, 高 IgG4 血症, 組織への IgG4 陽性形質細胞浸潤, 高度の線維化が特徴である全身性慢性炎症性疾患であり, 耳鼻咽喉科領域においてもさまざまな臓器症状を呈する。 頭頸部領域における IgG4 関連疾患は Mikulicz's 病, Küttner 腫瘍, Riedel 甲状腺炎などが挙げられるが, 近年 IgG4 関連疾患に伴う鼻副鼻腔病変の報告が増えている。 われわれが経験した慢性鼻副鼻腔炎を伴った IgG4 関連疾患4例について報告する。 症例1 (47歳男性) と症例2 (49歳男性) は, 慢性鼻副鼻腔炎として手術を行ったが, その数年後に他臓器症状が出現したため, 手術検体の追加病理検査および鼻ポリープ組織の再生検を行ったところ, IgG4 陽性形質細胞浸潤が認められた。 症例3 (64歳男性) と症例4 (65歳男性) は, 初診時に他臓器症状を伴う鼻症状を主訴に受診し, 外来で鼻ポリープを生検したところ, IgG4 陽性形質細胞浸潤が認められた。 4症例いずれも, 他臓器症状に鼻副鼻腔炎を伴い, 鼻ポリープの病理組織学的検査により比較的低侵襲で確定診断を得ることができた。 同時性あるいは異時性に全身症状を伴う鼻副鼻腔炎症例では IgG4 関連疾患を念頭に入れ診療するべきと考える。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.63.5_206