側頭骨に生じたGiant Cell Reparative Granulomaの1症例

巨細胞修復性肉芽腫(Giant Cell Reparative Granuloma: GCRG)は上顎骨,下顎骨に生じることが多く,側頭骨に発生する報告は少ない。今回われわれは側頭骨を原発としたGiant Cell Reparative Granulomaに対して手術的加療を行い,完全切除を得た症例を経験した。症例は47歳女性で,頭痛,左耳痛を主訴に当科を紹介受診した。CTにて左側頭骨に腫瘤性病変を認め,鼓室内,中頭蓋底,顎関節窩への進展が疑われた。中耳からの生検で巨細胞肉芽腫の診断となった。外側側頭骨切除術,中頭蓋底合併切除術,顎関節合併切除術を行い,腫瘍を全摘出した。硬膜欠損部位は側頭筋膜...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 65; no. 4; pp. 138 - 143
Main Authors 結束, 寿, 山本, 裕, 小島, 博己, 麻植, 章弘, 高橋, 昌寛, 志村, 英二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.08.2022
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo.65.4_138

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Summary:巨細胞修復性肉芽腫(Giant Cell Reparative Granuloma: GCRG)は上顎骨,下顎骨に生じることが多く,側頭骨に発生する報告は少ない。今回われわれは側頭骨を原発としたGiant Cell Reparative Granulomaに対して手術的加療を行い,完全切除を得た症例を経験した。症例は47歳女性で,頭痛,左耳痛を主訴に当科を紹介受診した。CTにて左側頭骨に腫瘤性病変を認め,鼓室内,中頭蓋底,顎関節窩への進展が疑われた。中耳からの生検で巨細胞肉芽腫の診断となった。外側側頭骨切除術,中頭蓋底合併切除術,顎関節合併切除術を行い,腫瘍を全摘出した。硬膜欠損部位は側頭筋膜で再建し,顎関節・頬骨切除部位は肋骨付き前鋸筋皮弁で再建を行った。術後はミキサー食の摂食が良好であり,術後約2週間で軽快退院となった。外耳道閉鎖による伝音難聴を認めたが,顔面神経や内耳機能は温存された。Giant Cell Reparative Granulomaは全摘が困難であった場合の再発率が高く,可能な限り完全摘出が望ましいとされる。本症例では,脳神経外科,形成外科と合同で腫瘍全摘・再建術を行い,良好な術後経過をたどったので報告する。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.65.4_138