開口障害を主訴とした咬筋に発生した限局性筋炎の1例

今回われわれは, 咬筋に発生した限局性筋炎 (Focal myotosis) の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。 症例は68歳, 女性。 1ヵ月前からの左頬部腫脹, 開口障害で近医を受診し, 抗菌薬含め内服加療するも改善がないため, 当院を紹介受診した。 MRI では左咬筋の肥厚を認め, 内部に不明瞭な占拠性病変を疑う所見であり, 精査の結果, 限局性筋炎の診断となった。 約2ヵ月間の経過観察で症状が改善しなかったため, 経口ステロイドの内服加療を開始し2ヵ月半程度で寛解を認めた。 限局性筋炎は特発性炎症性筋疾患に分類される非常に珍しい疾患であり, 特に咬筋に限局した症例は...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 64; no. 4; pp. 221 - 225
Main Authors 中島, 大輝, 竹下, 直宏, 新井, 佑梨, 由井, 亮輔, 三浦, 正寛, 千葉, 伸太郎, 加藤, 孝邦, 太田, 史一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.08.2021
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:今回われわれは, 咬筋に発生した限局性筋炎 (Focal myotosis) の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。 症例は68歳, 女性。 1ヵ月前からの左頬部腫脹, 開口障害で近医を受診し, 抗菌薬含め内服加療するも改善がないため, 当院を紹介受診した。 MRI では左咬筋の肥厚を認め, 内部に不明瞭な占拠性病変を疑う所見であり, 精査の結果, 限局性筋炎の診断となった。 約2ヵ月間の経過観察で症状が改善しなかったため, 経口ステロイドの内服加療を開始し2ヵ月半程度で寛解を認めた。 限局性筋炎は特発性炎症性筋疾患に分類される非常に珍しい疾患であり, 特に咬筋に限局した症例は本邦で3例のみしか報告されていない。 開口障害および片側性頬部腫脹を認める場合は限局性筋炎の可能性を念頭に置く必要がある。 また多発性筋炎に移行することがあるとの報告が散見され, 限局性筋炎の診療の際には全身性の筋炎症状に注意する必要がある。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.64.4_221