頸部孤立性線維腫の1例

孤立性線維腫 (solitary fibrous tumor) は間葉系由来の腫瘍であり, 多くが胸膜などの漿膜に発生し頭頸部領域からの発生は比較的稀とされる。 今回, 前頸部腫脹から診断に至った孤立性線維腫の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。 症例は39歳男性, 左前頸部腫脹を主訴に受診した。 触診上は軟らかい腫瘤を認めた。 各種画像検索を行ったが, いずれの検査結果も非典型的な所見を示し鑑別に苦慮したため, 病理診断目的に頸部切開による組織生検を施行し, その結果 SFT の診断に至った。 本症例は良性の孤立性線維腫であり, 外科的に摘出の方針となった。 永久標本での病理診...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 63; no. 3; pp. 109 - 113
Main Authors 永井, 美耶子, 水成, 陽介, 中澤, 圭史, 櫻井, 凛子, 弦本, 惟郎, 杉本, 直基, 池田, このみ, 小森, 学
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.06.2020
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Summary:孤立性線維腫 (solitary fibrous tumor) は間葉系由来の腫瘍であり, 多くが胸膜などの漿膜に発生し頭頸部領域からの発生は比較的稀とされる。 今回, 前頸部腫脹から診断に至った孤立性線維腫の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。 症例は39歳男性, 左前頸部腫脹を主訴に受診した。 触診上は軟らかい腫瘤を認めた。 各種画像検索を行ったが, いずれの検査結果も非典型的な所見を示し鑑別に苦慮したため, 病理診断目的に頸部切開による組織生検を施行し, その結果 SFT の診断に至った。 本症例は良性の孤立性線維腫であり, 外科的に摘出の方針となった。 永久標本での病理診断も孤立性線維腫であった。 胸膜外由来の孤立性線維腫は悪性の可能性が低く予後は良いが, 良性の場合でも再発する場合があり, 早期に全摘出が好ましいのではないかと考える。 本症例においては良性かつ再発リスクも低いと考えられるが再発の報告例もあり, 長期にわたる経過観察が必要である。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.63.3_109