病院勤務者のユニフォーム汚染状況に関する検討
医療関連感染は医療従事者が媒介者となることがあり,手や鼻腔,ユニフォームなどに病原微生物が付着していることが知られている.標準予防策では手指の汚染は防げるが,ユニフォームの汚染は防ぎきれない.そこで,ユニフォームの細菌汚染状況について,職種別,部位別に,付着菌量,菌種の調査を行った.和歌山県立医科大学附属病院に勤務する看護師,医師,理学療法士各6名,計18名に対し,洗濯直後のユニフォームを3日間着用して通常業務を行った後,拭き取り培養法により,ユニフォーム付着菌の菌量と菌種を調査した.調査部位は,ユニフォームの13ヶ所,各々100 cm2とした.職種間では,理学療法士が5.95 CFUと検出菌...
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Published in | 日本環境感染学会誌 Vol. 29; no. 5; pp. 345 - 349 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本環境感染学会
2014
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Subjects | |
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ISSN | 1882-532X 1883-2407 |
DOI | 10.4058/jsei.29.345 |
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Summary: | 医療関連感染は医療従事者が媒介者となることがあり,手や鼻腔,ユニフォームなどに病原微生物が付着していることが知られている.標準予防策では手指の汚染は防げるが,ユニフォームの汚染は防ぎきれない.そこで,ユニフォームの細菌汚染状況について,職種別,部位別に,付着菌量,菌種の調査を行った.和歌山県立医科大学附属病院に勤務する看護師,医師,理学療法士各6名,計18名に対し,洗濯直後のユニフォームを3日間着用して通常業務を行った後,拭き取り培養法により,ユニフォーム付着菌の菌量と菌種を調査した.調査部位は,ユニフォームの13ヶ所,各々100 cm2とした.職種間では,理学療法士が5.95 CFUと検出菌量が最も多く,医師3.24 CFU,看護師1.83 CFUと続いたが,統計学的には有意差は認めなかった(p=0.165).部位別では,両袖,後面の裾で,他の部位に比べ有意に菌量が多かった(p=0.0010).付着菌種では,コアグラーゼ陰性ブドウ球菌が最も多かったが,黄色ブドウ球菌も多く認められた.医療従事者の感染予防策として,手洗いの励行とともに,ユニフォームの両袖や後面の裾などに対する注意も必要であり,なかでも理学療法士のユニフォームが汚染源になる可能性を考慮すべきである. |
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ISSN: | 1882-532X 1883-2407 |
DOI: | 10.4058/jsei.29.345 |