義歯誤飲による食道穿孔に対して胸腔鏡下手術を施行した1例
症例は88歳,女性。義歯をつけたまま就寝し,翌朝義歯がなくなっていたため,誤飲を疑い外来を受診した。胸部単純X線で下縦隔に有鉤義歯を確認した。内視鏡で観察すると義歯の鉤が食道右壁に刺さっていた。鉗子による摘出を試みたが,さらに食道壁に食い込み,筋層が一部露出した。CTで皮下,縦隔および後腹膜に気腫を認め,食道穿孔と診断し,手術の方針とした。左側臥位として右胸壁にポートを留置した。超音波凝固切開装置で義歯周囲を切開し,食道壁を開放して義歯を摘出した。胸腔鏡下に4-0吸収糸の連続縫合で穿孔部を一期的に閉鎖し,吸収性組織補強材で被覆した。術後経過良好で術後19日目に退院した。高齢者に対して低侵襲な術...
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Published in | Nihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 34; no. 8; pp. 1475 - 1479 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
2014
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.34.1475 |
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Summary: | 症例は88歳,女性。義歯をつけたまま就寝し,翌朝義歯がなくなっていたため,誤飲を疑い外来を受診した。胸部単純X線で下縦隔に有鉤義歯を確認した。内視鏡で観察すると義歯の鉤が食道右壁に刺さっていた。鉗子による摘出を試みたが,さらに食道壁に食い込み,筋層が一部露出した。CTで皮下,縦隔および後腹膜に気腫を認め,食道穿孔と診断し,手術の方針とした。左側臥位として右胸壁にポートを留置した。超音波凝固切開装置で義歯周囲を切開し,食道壁を開放して義歯を摘出した。胸腔鏡下に4-0吸収糸の連続縫合で穿孔部を一期的に閉鎖し,吸収性組織補強材で被覆した。術後経過良好で術後19日目に退院した。高齢者に対して低侵襲な術式を選択することで,術後合併症なく退院しえた1例であった。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.34.1475 |