ニコチン受容体を標的とした統合失調症治療薬の可能性
「1. はじめに」統合失調症は大別すると, 陽性症状, 陰性症状, 認知障害からなる多様な症状を呈する精神疾患である. その薬物療法に関しては, 定型抗精神病薬chlorpromazineの創製以降, 陽性症状の改善に大幅な進歩がみられ, さらにその後, clozapine, olanzapine, risperidone等の非定型抗精神病薬の登場により, 陰性症状についても改善が図れるようになってきた. しかし, 認知障害に関しては, 統合失調症患者の多くで認められているにも係わらず, 既存の抗精神病薬ではその改善は十分とは言えない状況である. 認知障害の改善は, 統合失調症患者の社会復帰,...
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Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 129; no. 2; pp. 197 - 201 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本薬学会
01.02.2009
日本薬学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0031-6903 1347-5231 |
DOI | 10.1248/yakushi.129.197 |
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Summary: | 「1. はじめに」統合失調症は大別すると, 陽性症状, 陰性症状, 認知障害からなる多様な症状を呈する精神疾患である. その薬物療法に関しては, 定型抗精神病薬chlorpromazineの創製以降, 陽性症状の改善に大幅な進歩がみられ, さらにその後, clozapine, olanzapine, risperidone等の非定型抗精神病薬の登場により, 陰性症状についても改善が図れるようになってきた. しかし, 認知障害に関しては, 統合失調症患者の多くで認められているにも係わらず, 既存の抗精神病薬ではその改善は十分とは言えない状況である. 認知障害の改善は, 統合失調症患者の社会復帰, 適応のためには重要な課題であり, したがって, より優れた認知障害改善作用を有する新たな治療薬の開発が必要である. 一方, 統合失調症患者では健常人と比較して, 喫煙者の割合が高いことが知られている. 例えば, 米国での調査では, 健常人の喫煙率は25-33%であるのに対し, 統合失調症患者の喫煙率は70-90%にものぼる. 1) |
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ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.129.197 |