左Spigelヘルニア嵌頓の1例

症例は89歳女性,前日夜からの左下腹部痛,嘔気,嘔吐を主訴に受診した。来院時,左下腹部に軽度の圧痛を認めたが,腹膜刺激症状は認めず。腸炎として経過観察入院となった。翌日に症状が悪化したため腹部造影CTを施行した。左下腹部の菲薄化したSpigel腱膜に腸管が嵌頓し,その嵌頓部より口側の腸管拡張を認めた。Spigelヘルニア嵌頓による腸閉塞と診断し,同日に緊急手術を行った。開腹すると,腹直筋外縁のSpigel腱膜がヘルニア門となり,小腸の嵌頓を認めた。腸管壊死の所見は認めなかったため,腸管切除は行わず小腸を腹腔内に還納し,ヘルニア門を縫合閉鎖した。術後経過は良好で,術後6日目に退院となった。Spi...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 34; no. 6; pp. 1167 - 1170
Main Authors 小池, 佳勇, 水谷, 哲之, 橋本, 瑞生, 佐藤, 文哉, 坂口, 憲史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2014
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Summary:症例は89歳女性,前日夜からの左下腹部痛,嘔気,嘔吐を主訴に受診した。来院時,左下腹部に軽度の圧痛を認めたが,腹膜刺激症状は認めず。腸炎として経過観察入院となった。翌日に症状が悪化したため腹部造影CTを施行した。左下腹部の菲薄化したSpigel腱膜に腸管が嵌頓し,その嵌頓部より口側の腸管拡張を認めた。Spigelヘルニア嵌頓による腸閉塞と診断し,同日に緊急手術を行った。開腹すると,腹直筋外縁のSpigel腱膜がヘルニア門となり,小腸の嵌頓を認めた。腸管壊死の所見は認めなかったため,腸管切除は行わず小腸を腹腔内に還納し,ヘルニア門を縫合閉鎖した。術後経過は良好で,術後6日目に退院となった。Spigelヘルニア嵌頓の一手術例を経験したため,若干の文献的考察を加え報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.34.1167