腸管気腫を伴った小腸間膜裂孔ヘルニアの1例

症例は64歳,男性。外傷性くも膜下出血後,当院慢性期病棟入院中に腹部膨満が出現したためCT検査を施行した。腸管気腫を伴う著明な小腸の拡張および腹水貯留を認めたため当科紹介。腹部は著明に膨満していたがvital sign等に特記すべき異常は認めなかった。画像上内ヘルニアを疑い,緊急手術を施行した。腹腔内に淡黄色腹水を認め,小腸は広範囲に渡って膨満していた。回腸末端付近の小腸間膜に1×2cmの異常裂孔を認め,そこに小腸が陥頓し捻転をきたしていた。さらに腸管膜に多数の気腫を認めたが壊死所見や穿孔は認めなかった。陥頓腸管の整復を行った後,異常裂孔を縫合閉鎖し手術を終了した。小腸間膜裂孔ヘルニアは,腸間...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 34; no. 8; pp. 1419 - 1423
Main Authors 北山, 紀州, 寺岡, 均, 西村, 潤也, 埜村, 真也, 野田, 英児, 西野, 裕二, 平川, 弘聖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2014
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Summary:症例は64歳,男性。外傷性くも膜下出血後,当院慢性期病棟入院中に腹部膨満が出現したためCT検査を施行した。腸管気腫を伴う著明な小腸の拡張および腹水貯留を認めたため当科紹介。腹部は著明に膨満していたがvital sign等に特記すべき異常は認めなかった。画像上内ヘルニアを疑い,緊急手術を施行した。腹腔内に淡黄色腹水を認め,小腸は広範囲に渡って膨満していた。回腸末端付近の小腸間膜に1×2cmの異常裂孔を認め,そこに小腸が陥頓し捻転をきたしていた。さらに腸管膜に多数の気腫を認めたが壊死所見や穿孔は認めなかった。陥頓腸管の整復を行った後,異常裂孔を縫合閉鎖し手術を終了した。小腸間膜裂孔ヘルニアは,腸間膜の異常裂孔に腸管が陥入し腸閉塞を発症するまれな疾患であり,高齢者の報告例は少ない。イレウスに遭遇した場合は本疾患も念頭に置き迅速な対応が必要である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.34.1419