腹腔内出血制御症例の検討

止血を要する腹部外傷は非手術的治療(NOM)に大きくシフトしたが,すべてでNOMが可能とは限らず,止血法の選択が重要である。われわれは腹腔内出血制御症例の転帰改善のための課題を抽出することを目的とし,自施設の症例を後ろ向きに検討した。対象と方法:2006年1月より2013年6月までの腹腔内出血制御症例。【結果】全84例中,8例(9.5%)が死亡した。59例に腹腔内単独止血を要し,手術単独止血2例(3.4%)が死亡し,TAE選択は全例救命した。骨盤に出血制御を要した症例は18例で5例(27.8%)が死亡し,骨盤の非出血制御例と比べ有意に死亡率が高かった。【結語】骨盤の出血制御の成功が腹腔内出血制...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 36; no. 6; pp. 1043 - 1051
Main Authors 金, 史英, 萩原, 純, 石井, 浩統, 松居, 亮平, 萩原, 令彦, 片桐, 美和, 増野, 智彦, 新井, 正徳, 辻井, 厚子, 横田, 裕行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2016
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
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Summary:止血を要する腹部外傷は非手術的治療(NOM)に大きくシフトしたが,すべてでNOMが可能とは限らず,止血法の選択が重要である。われわれは腹腔内出血制御症例の転帰改善のための課題を抽出することを目的とし,自施設の症例を後ろ向きに検討した。対象と方法:2006年1月より2013年6月までの腹腔内出血制御症例。【結果】全84例中,8例(9.5%)が死亡した。59例に腹腔内単独止血を要し,手術単独止血2例(3.4%)が死亡し,TAE選択は全例救命した。骨盤に出血制御を要した症例は18例で5例(27.8%)が死亡し,骨盤の非出血制御例と比べ有意に死亡率が高かった。【結語】骨盤の出血制御の成功が腹腔内出血制御症例の転帰を改善することが示唆された。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.36.1043