腹腔鏡補助下横行結腸部分切除後の腸間膜欠損部に生じた内ヘルニアの1例

症例は70歳,男性。横行結腸腫瘍に対する内視鏡下粘膜切除術でsm癌と診断され,腹腔鏡下横行結腸部分切除術を施行した。約2ヵ月後,突然の腹痛と吐気・嘔吐が出現し,当院救急外来を受診した。腹部単純X線検査では異常を認めなかったが,腹部CTで空腸をヘルニア内容とする横行結腸間膜欠損部内ヘルニアと診断し,緊急手術を施行した。手術所見では,横行結腸間膜欠損部から網嚢内へ空腸が1mほど入り込んでいた。脱出腸管を戻した後,腸間膜欠損部を縫合閉鎖した。腹腔鏡下大腸手術後の腸間膜欠損部での内ヘルニアはまれであるため発症から診断治療まで時間を要している報告が多いが,速やかな診断にはCT検査は有用であった。また,本...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 31; no. 1; pp. 95 - 98
Main Authors 桑原, 明史, 酒井, 靖夫, 大橋, 拓, 武者, 信行, 坪野, 俊広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2010
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Summary:症例は70歳,男性。横行結腸腫瘍に対する内視鏡下粘膜切除術でsm癌と診断され,腹腔鏡下横行結腸部分切除術を施行した。約2ヵ月後,突然の腹痛と吐気・嘔吐が出現し,当院救急外来を受診した。腹部単純X線検査では異常を認めなかったが,腹部CTで空腸をヘルニア内容とする横行結腸間膜欠損部内ヘルニアと診断し,緊急手術を施行した。手術所見では,横行結腸間膜欠損部から網嚢内へ空腸が1mほど入り込んでいた。脱出腸管を戻した後,腸間膜欠損部を縫合閉鎖した。腹腔鏡下大腸手術後の腸間膜欠損部での内ヘルニアはまれであるため発症から診断治療まで時間を要している報告が多いが,速やかな診断にはCT検査は有用であった。また,本症は発症率は低いが手術が必要となるため,腸間膜欠損部はできるだけ閉鎖するべきと考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.31.95