鈍的単独Ⅲb型膵損傷に対しLetton-Wilson手術を施行した2例

鈍的単独膵損傷は比較的まれな外傷である。膵単独損傷に対しLetton-Wilson手術を施行した2例を経験したので報告する。症例1は17歳の男性,バスケットボール中に上腹部を受傷。受傷翌日に腹痛の増悪を認め,腹部CTにて膵体部に低吸収域を認めた。ERPにてⅢb型膵損傷と診断し緊急手術を施行。術中所見では門脈腹側で膵実質の完全断裂を認めた。若年で全身状態も良好であったため膵温存手術を選択しLetton-Wilson手術を施行した。症例2は22歳の男性,野球中に選手間で接触し受傷。腹部CTおよびERPにてⅢb型膵損傷と診断し緊急手術を施行。症例1同様に膵実質の完全断裂を認め,同手術にて再建した。2...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 36; no. 6; pp. 1093 - 1097
Main Authors 松田, 和広, 村上, 雅彦, 青木, 武士, 藤森, 聰, 榎並, 延太, 山崎, 公靖, 五藤, 哲, 渡辺, 誠, 大塚, 耕司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2016
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Summary:鈍的単独膵損傷は比較的まれな外傷である。膵単独損傷に対しLetton-Wilson手術を施行した2例を経験したので報告する。症例1は17歳の男性,バスケットボール中に上腹部を受傷。受傷翌日に腹痛の増悪を認め,腹部CTにて膵体部に低吸収域を認めた。ERPにてⅢb型膵損傷と診断し緊急手術を施行。術中所見では門脈腹側で膵実質の完全断裂を認めた。若年で全身状態も良好であったため膵温存手術を選択しLetton-Wilson手術を施行した。症例2は22歳の男性,野球中に選手間で接触し受傷。腹部CTおよびERPにてⅢb型膵損傷と診断し緊急手術を施行。症例1同様に膵実質の完全断裂を認め,同手術にて再建した。2例とも重篤な合併症なく軽快退院した。膵損傷に対する手術は個々の症例に応じて適切な術式を選択する必要があるが,若年者で膵温存が期待できる場合,Letton-Wilson手術も考慮すべき術式と考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.36.1093