絞扼性イレウスに対する腹腔鏡下手術の有用性
絞扼性イレウスは診断・治療が遅れた場合,敗血性ショック,多臓器不全と致命的な結果を招く可能性がある。絞扼性イレウスの診断においてさまざまな臨床指標の有用性,腹部 CT検査・腹部超音波検査などの画像診断の有用性が報告されているが,実際の臨床においては,その診断に迷うことが少なくない。当院では,絞扼性イレウスを疑い確定診断がつかない症例に,診断的治療の目的で積極的に腹腔鏡下手術を施行してきた。腹腔鏡下手術では,絞扼の有無の診断が可能で,症例によっては,原因を解除するだけで完全腹腔鏡下手術が可能である。不可逆的な腸管壊死を認め,腸管切除が必要な症例でも最適部位の小切開で手術が可能である。但し,腸管拡...
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Published in | Nihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 28; no. 1; pp. 35 - 40 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
2008
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine |
Subjects | |
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ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.28.35 |
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Summary: | 絞扼性イレウスは診断・治療が遅れた場合,敗血性ショック,多臓器不全と致命的な結果を招く可能性がある。絞扼性イレウスの診断においてさまざまな臨床指標の有用性,腹部 CT検査・腹部超音波検査などの画像診断の有用性が報告されているが,実際の臨床においては,その診断に迷うことが少なくない。当院では,絞扼性イレウスを疑い確定診断がつかない症例に,診断的治療の目的で積極的に腹腔鏡下手術を施行してきた。腹腔鏡下手術では,絞扼の有無の診断が可能で,症例によっては,原因を解除するだけで完全腹腔鏡下手術が可能である。不可逆的な腸管壊死を認め,腸管切除が必要な症例でも最適部位の小切開で手術が可能である。但し,腸管拡張により視野が不良な場合や原因が同定できない場合は,開腹移行を躊躇してはならない。絞扼性イレウスを疑う症例に対する腹腔鏡下手術は,安全に施行可能であり,診断的・治療的な意味からも有用な術式と考えられた。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.28.35 |