外来通院をしている血液疾患患者の自己効力感 血液腫瘍患者と非血液腫瘍患者の比較

【背景・目的】 近年, 血液腫瘍患者は化学療法を外来で受ける傾向にあり, セルフケアが必要となる. また, 再生不良性貧血などの非血液腫瘍患者においても貧血や倦怠感などの症状を緩和するセルフケアの重要性が指摘されている. 自己効力感はセルフケアを促進するために必要不可欠な要素である. 本研究の目的は腫瘍患者と非腫瘍患者の自己効力感の影響要因を分析し, 看護支援を検討することである. 【対象と方法】 対象者は2つの大学病院の血液外来において研究参加の承諾が得られた20歳以上の患者である. 調査は自己効力感尺度を用いて行い, 腫瘍患者110名と非腫瘍患者90名を比較した. 【結 果】 情緒的支援ネ...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 57; no. 1; pp. 7 - 15
Main Authors 瀬山, 留加, 中村, 江里, 吉田, 久美子, 石田, 和子, 神田, 清子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.02.2007
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ISSN1343-2826
1881-1191
DOI10.2974/kmj.57.7

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Summary:【背景・目的】 近年, 血液腫瘍患者は化学療法を外来で受ける傾向にあり, セルフケアが必要となる. また, 再生不良性貧血などの非血液腫瘍患者においても貧血や倦怠感などの症状を緩和するセルフケアの重要性が指摘されている. 自己効力感はセルフケアを促進するために必要不可欠な要素である. 本研究の目的は腫瘍患者と非腫瘍患者の自己効力感の影響要因を分析し, 看護支援を検討することである. 【対象と方法】 対象者は2つの大学病院の血液外来において研究参加の承諾が得られた20歳以上の患者である. 調査は自己効力感尺度を用いて行い, 腫瘍患者110名と非腫瘍患者90名を比較した. 【結 果】 情緒的支援ネットワークの比較では家族内・家族以外ともに腫瘍患者の方が非腫瘍患者よりも低く有意差が認められた. 自己効力感得点は, 腫瘍患者平均31.5点 (標準偏差5.3点), 非腫瘍患者31.8点 (標準偏差5.7点) であり有意差はなかった. 医学診断では全ての診断の中で急性白血病の対象者の自己効力感得点がもっとも低かった. 2群の自己効力感得点を比較した結果, 性別で交互作用があった. また, 全身状態のレベルで有意差が認められ, 状態が悪く活動範囲が狭い対象者ほど自己効力感得点が低かった. 【結 語】 血液疾患患者の自己効力感を高めるためには性別や全身状態等を考慮した関わりが必要であり, また腫瘍患者への情緒的支援の重要性が明確になった.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.57.7