胆汁酸による培養肝細胞膜の可溶化

株化培養細胞に対する各種胆汁酸の細胞膜変化を細胞培養液の相対濁度,培養液中のタンパク量を指標とし,同時に形態学的観察も試みた.chenodeoxycholic acid (CDCA), ursodeoxycholic acid (UDCA), deoxycholic acid (DCA), cholic acid (CA)のいずれの胆汁酸によっても相対濁度の減少が認められ,UDCA以外の胆汁酸添加でmedium中のタンパク量は増加し濁度との相関が認められたが,UDCAではタンパク量の増加は認められなかった.このことは濁度を低下させる機序がCDCAとUDCAでは異っているためと推察された.また透...

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Published in肝臓 Vol. 22; no. 1; pp. 1 - 7
Main Authors 島村, 真里子, 栗田, 哲夫, 山口, 敦美, 片山, 敬, 田中, 昭, 木村, 恒夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.01.1981
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.22.1

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Summary:株化培養細胞に対する各種胆汁酸の細胞膜変化を細胞培養液の相対濁度,培養液中のタンパク量を指標とし,同時に形態学的観察も試みた.chenodeoxycholic acid (CDCA), ursodeoxycholic acid (UDCA), deoxycholic acid (DCA), cholic acid (CA)のいずれの胆汁酸によっても相対濁度の減少が認められ,UDCA以外の胆汁酸添加でmedium中のタンパク量は増加し濁度との相関が認められたが,UDCAではタンパク量の増加は認められなかった.このことは濁度を低下させる機序がCDCAとUDCAでは異っているためと推察された.また透過型電顕像ではCDCAの膜障害性はUDCAより強く,UDCAはほぼ正常に保たれている如き像であったが,走査型電顕による観察ではUDCAの膜障害性も軽微ではあるが観察された.以上の成績から,CDCAとUDCAとは異性体であるにもかかわらず,その細胞膜に対する作用には大きな差のあることが明らかである.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.22.1