脳梗塞及び脳出血に対する抗血小板剤シロスタゾールの保護作用

『1. はじめに』 脳卒中は日本人の死因の第3位であり, 日本人の全死亡数の約12%を占めている疾患である. また, 総患者数は現在約270万人おり, 毎年27万人(うち20万人が脳梗塞)が新たに発症すると報告されている. 年々死亡率は医療の進歩によって減少しているものの重度介護を要する症例の3割近くが脳卒中などの脳血管疾患であり, 全国民医療費の1割近くが脳卒中診療に費やされている.今後も高齢者の激増や, 糖尿病, 高脂血症などの生活習慣病の増加により, 脳卒中の患者は2020年には300万人を超すことが予想され, 少子高齢化の続く2025年頃までは増加していくと予測されている. 脳卒中には...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 131; no. 4; pp. 513 - 521
Main Authors 原, 英彰, 石黒, 光紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.04.2011
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.131.513

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Summary:『1. はじめに』 脳卒中は日本人の死因の第3位であり, 日本人の全死亡数の約12%を占めている疾患である. また, 総患者数は現在約270万人おり, 毎年27万人(うち20万人が脳梗塞)が新たに発症すると報告されている. 年々死亡率は医療の進歩によって減少しているものの重度介護を要する症例の3割近くが脳卒中などの脳血管疾患であり, 全国民医療費の1割近くが脳卒中診療に費やされている.今後も高齢者の激増や, 糖尿病, 高脂血症などの生活習慣病の増加により, 脳卒中の患者は2020年には300万人を超すことが予想され, 少子高齢化の続く2025年頃までは増加していくと予測されている. 脳卒中にはくも膜下出血, 脳出血, 脳梗塞の3つのタイプがあり, 脳卒中データバンク2009によると, 脳卒中全体の75.4%を脳梗塞が占めている1). 心臓から脳に向かう血管が詰まると, 酸素とブドウ糖が脳に供給されなくなり, エネルギー備蓄能に乏しい脳は血流が乏しくなると即座に梗塞をきたす.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.131.513