徹照像が視力検査に有用であった2症例

【目的】屈折検査時に徹照像を撮影することによって、視力検査に有用な情報が得られた2症例について報告する。 【症例1】両眼トーリック眼内レンズ(Toric IOL)挿入術後の77歳女性。Toric IOLの軸マーク位置を、オートレフケラトメーターARK-1s(NIDEK)に搭載された徹照像から分度器で計測したものと、角膜形状/屈折力解析装置OPD-ScanⅢ(NIDEK)の徹照像から得られる軸とで比較した。2つの方法による乱視軸マークの測定値の差は、全て3°以内であった。 【症例2】眼内レンズ(IOL)偏位のため他覚的屈折値と自覚的屈折矯正値が矛盾した64歳女性。ARK-1sにて屈折検査、角膜曲...

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Published in日本視能訓練士協会誌 Vol. 43; pp. 131 - 135
Main Authors 伊藤, 志代美, 玉置, 明野, 川出, 美幸, 市川, 一夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本視能訓練士協会 2014
日本視能訓練士協会
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Summary:【目的】屈折検査時に徹照像を撮影することによって、視力検査に有用な情報が得られた2症例について報告する。 【症例1】両眼トーリック眼内レンズ(Toric IOL)挿入術後の77歳女性。Toric IOLの軸マーク位置を、オートレフケラトメーターARK-1s(NIDEK)に搭載された徹照像から分度器で計測したものと、角膜形状/屈折力解析装置OPD-ScanⅢ(NIDEK)の徹照像から得られる軸とで比較した。2つの方法による乱視軸マークの測定値の差は、全て3°以内であった。 【症例2】眼内レンズ(IOL)偏位のため他覚的屈折値と自覚的屈折矯正値が矛盾した64歳女性。ARK-1sにて屈折検査、角膜曲率半径計測、徹照像撮影を行い、OPD-ScanⅢで眼収差量を測定した。他覚的屈折検査は測定不能であったにもかかわらず、自覚的視力検査は(0.7×IOL)(1.2×cyl-1.25D 90°)と良好で、ARK-1sによる徹照像からIOLが下方に偏位していることが確認された。瞳孔中心付近にIOLのエッジが掛かっているため他覚的屈折値はエラーとなるも、瞳孔領内の31.4%にIOL有効光学部があり、視覚的注意の選択特性により良好な矯正視力が得られたと考えられた。 【結論】他覚的屈折検査時に徹照像を確認できることは、視力検査において有用な情報となると思われた。
ISSN:0387-5172
1883-9215
DOI:10.4263/jorthoptic.043F110