絞扼性イレウスを起こした小腸間膜裂孔ヘルニアの1例

腸間膜裂孔ヘルニアは内ヘルニアの一種で,腸間膜の異常裂孔に腸管が嵌入するものである。今回絞扼性イレウスを起した小腸間膜裂孔ヘルニアの1例を経験したので報告する。症例は29歳の男性である。開腹手術の既往はない。腹痛・嘔気を主訴として来院した。心窩部から下腹部正中に著明な自発痛と圧痛を認めた。内ヘルニアによる絞扼性イレウスを疑い手術を施行した。小腸間膜の異常裂孔に小腸が嵌入しており,その支配動脈を軸として捻転・壊死を起こしていた。このため壊死腸管を含む小腸と裂孔部の切除を行った。術後経過は順調で術後第15病日目に退院となった。本疾患は腸管壊死を起こしやすいため,手術歴のないイレウス症例では本疾患も...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 29; no. 1; pp. 87 - 89
Main Authors 國井, 康弘, 須田, 寸実人, 鎌野, 俊紀, 片見, 厚夫, 前川, 勝治郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2009
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.29.87

Cover

More Information
Summary:腸間膜裂孔ヘルニアは内ヘルニアの一種で,腸間膜の異常裂孔に腸管が嵌入するものである。今回絞扼性イレウスを起した小腸間膜裂孔ヘルニアの1例を経験したので報告する。症例は29歳の男性である。開腹手術の既往はない。腹痛・嘔気を主訴として来院した。心窩部から下腹部正中に著明な自発痛と圧痛を認めた。内ヘルニアによる絞扼性イレウスを疑い手術を施行した。小腸間膜の異常裂孔に小腸が嵌入しており,その支配動脈を軸として捻転・壊死を起こしていた。このため壊死腸管を含む小腸と裂孔部の切除を行った。術後経過は順調で術後第15病日目に退院となった。本疾患は腸管壊死を起こしやすいため,手術歴のないイレウス症例では本疾患も念頭に置き,迅速な対応が必要である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.29.87