刺激性下剤内服を契機に発症した高CEA血症を伴う壊死型虚血性大腸炎の1例

症例は76歳,女性。便秘のため近医で浣腸等の処置を受けていたが,便秘の改善を認めず下剤を内服したところ腹痛を認め当院へ紹介入院となった。入院後,短時間の経過で腹痛の増悪,腹膜刺激症状の出現を認めた。血液検査では高CEA血症を認めたが,造影CT検査を施行した結果,急性腸管壊死が疑われ緊急手術を行った。上行結腸からS状結腸にかけて広範な壊死を認め結腸亜全摘・回腸人工肛門造設術を施行した。術後経過は良好であり,血清CEA値は正常化した。本症例は,高度な便秘・浣腸処置に起因する腸管内圧亢進状態に,下剤による腸管蠕動亢進が加わったことで腸管虚血から壊死に至ったと考えられた。壊死型虚血性大腸炎では高CEA...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 34; no. 5; pp. 1043 - 1047
Main Authors 藤井, 恒太, 岩井, 直人, 若林, 直樹, 柳橋, 健, 高見, 史朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2014
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.34.1043

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Summary:症例は76歳,女性。便秘のため近医で浣腸等の処置を受けていたが,便秘の改善を認めず下剤を内服したところ腹痛を認め当院へ紹介入院となった。入院後,短時間の経過で腹痛の増悪,腹膜刺激症状の出現を認めた。血液検査では高CEA血症を認めたが,造影CT検査を施行した結果,急性腸管壊死が疑われ緊急手術を行った。上行結腸からS状結腸にかけて広範な壊死を認め結腸亜全摘・回腸人工肛門造設術を施行した。術後経過は良好であり,血清CEA値は正常化した。本症例は,高度な便秘・浣腸処置に起因する腸管内圧亢進状態に,下剤による腸管蠕動亢進が加わったことで腸管虚血から壊死に至ったと考えられた。壊死型虚血性大腸炎では高CEA血症を示す場合があること,一般に虚血性大腸炎は予後良好とされているが短時間で壊死型虚血性大腸炎に至る場合があることを念頭に置く必要がある。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.34.1043