持続動注療法で軽快した門脈ガス血症を伴う非典型像を呈した非閉塞性腸管虚血症の1例

症例は85歳男性。経皮的肝動脈塞栓術後9日目に腹痛・腹部膨満感の出現とともにショックとなった。腹部造影CT検査で門脈ガス像,小腸の壁肥厚や拡張を認めたが,明らかな血管閉塞像は認めなかったため,非閉塞性腸管虚血症(nonocclusive mesenteric ischemia:以下,NOMI)が疑われた。血管造影検査で典型的な血管れん縮像ではなかったものの,血管閉塞機転を認めなかったことからNOMIと診断し,塩酸パパベリン持続動注を開始した。第2病日にかけて血清乳酸値の著明な上昇を認めたが,その後全身状態が改善し第8病日にICU退室となった。NOMIは予後不良な疾患であり,典型的な血管れん縮像...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 36; no. 7; pp. 1211 - 1214
Main Authors 植田, 浩司, 下薗, 崇宏, 伊原, 正幸, 美馬, 裕之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2016
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.36.1211

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Summary:症例は85歳男性。経皮的肝動脈塞栓術後9日目に腹痛・腹部膨満感の出現とともにショックとなった。腹部造影CT検査で門脈ガス像,小腸の壁肥厚や拡張を認めたが,明らかな血管閉塞像は認めなかったため,非閉塞性腸管虚血症(nonocclusive mesenteric ischemia:以下,NOMI)が疑われた。血管造影検査で典型的な血管れん縮像ではなかったものの,血管閉塞機転を認めなかったことからNOMIと診断し,塩酸パパベリン持続動注を開始した。第2病日にかけて血清乳酸値の著明な上昇を認めたが,その後全身状態が改善し第8病日にICU退室となった。NOMIは予後不良な疾患であり,典型的な血管れん縮像の有無にかかわらず,塩酸パパベリン持続動注療法が有効な治療オプションの1つとなり得ると考える。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.36.1211