異時性に生じた遅発性外傷性小腸穿孔の1例

症例は70歳女性。前医入院2週間前に右下腹部を強打した。その後徐々に腹痛が増悪したため,前医を受診した。造影CTで急性虫垂炎もしくは憩室炎による腹腔内膿瘍と診断され,入院加療されていた。外傷のエピソードは前医では申告されていなかった。2週間の保存的加療でも改善なく,腹痛の増悪,CT上膿瘍の増大を認め,腹腔内遊離ガス像も出現したため緊急手術の適応と判断され,当院に救急搬送された。腹腔鏡で観察したところ,大量の混濁腹水と小腸の穿孔部を認めたため,小腸穿孔と診断して開腹移行した。回腸末端部に3ヵ所の穿孔を認め,穿孔部位を含めて回腸60cmを切除し回腸回腸機能的端々吻合で再建した。経過より,外傷性の遅...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 34; no. 5; pp. 1049 - 1052
Main Authors 堀, 義城, 仲本, 博史, 板垣, 亮平, 長谷川, 弥子, 新井, 俊文, 畑中, 正行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2014
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Summary:症例は70歳女性。前医入院2週間前に右下腹部を強打した。その後徐々に腹痛が増悪したため,前医を受診した。造影CTで急性虫垂炎もしくは憩室炎による腹腔内膿瘍と診断され,入院加療されていた。外傷のエピソードは前医では申告されていなかった。2週間の保存的加療でも改善なく,腹痛の増悪,CT上膿瘍の増大を認め,腹腔内遊離ガス像も出現したため緊急手術の適応と判断され,当院に救急搬送された。腹腔鏡で観察したところ,大量の混濁腹水と小腸の穿孔部を認めたため,小腸穿孔と診断して開腹移行した。回腸末端部に3ヵ所の穿孔を認め,穿孔部位を含めて回腸60cmを切除し回腸回腸機能的端々吻合で再建した。経過より,外傷性の遅発性小腸穿孔と診断した。さらに病理組織検査で穿孔部が異時性であると判明した。外傷性の遅発性腸穿孔部より口側が異時性に穿孔したまれな病態であった。文献的考察を含めて報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.34.1049