急性A型肝炎を契機にacute on chronic型肝不全に陥った高齢常習飲酒家の1例

症例は71歳,男性。50年以上の常習飲酒家。2011年3月シンガポールへ渡航歴あり。同年4月上旬に黄疸を指摘され,近医より当院紹介受診となった。受診時より肝性脳症Ⅱ度,血液検査はAST 3,672IU/L,ALT 1,267IU/Lと肝機能酵素の著明な上昇,プロトロンビン時間は24.4%と延長が認められた。常習飲酒家で,HA-IgM Ab陽性であることから,A型肝炎を契機に発症したacute on chronic型肝不全と診断した。第1病日より人工肝補助療法を計7回施行したところ,transaminaseは急速に下降したが,黄疸は増悪傾向であったため,第8病日からステロイドパルス療法を併用した...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 34; no. 8; pp. 1537 - 1540
Main Authors 伊藤, 亮治, 賀古, 眞, 魚嶋, 晴紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2014
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.34.1537

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Summary:症例は71歳,男性。50年以上の常習飲酒家。2011年3月シンガポールへ渡航歴あり。同年4月上旬に黄疸を指摘され,近医より当院紹介受診となった。受診時より肝性脳症Ⅱ度,血液検査はAST 3,672IU/L,ALT 1,267IU/Lと肝機能酵素の著明な上昇,プロトロンビン時間は24.4%と延長が認められた。常習飲酒家で,HA-IgM Ab陽性であることから,A型肝炎を契機に発症したacute on chronic型肝不全と診断した。第1病日より人工肝補助療法を計7回施行したところ,transaminaseは急速に下降したが,黄疸は増悪傾向であったため,第8病日からステロイドパルス療法を併用した。その後,意識障害は一時的に改善されたが,黄疸は依然増悪傾向であった。第31病日に腹痛が認められ,画像検査より急性膵炎の合併と診断し,集学的治療を行うも治療に反応なく,第35病日に永眠となった。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.34.1537