上行結腸癌に対する化学療法中に肝膿瘍を合併した1例
肝膿瘍は通常,何らかの疾患に合併して発生する。まれに肝膿瘍を契機に大腸癌が発見されることがある。上行結腸癌の化学療法中に肝膿瘍を合併した1例を報告する。症例は64歳の男性で,上行結腸の腫瘤性病変のため当院へ紹介となり,進行上行結腸癌と診断した。術後再発リスクを下げる目的でCapecitabine/Oxaliplatin plus Bevacizumabによる化学療法を開始した。3コース目に発熱を認めていたが,全身状態は良好であった。4コース後の造影CTで肝右葉に肝膿瘍が指摘された。肝膿瘍は経皮経肝膿瘍ドレナージと抗生剤治療で改善した。膿瘍の細菌培養ではStreptococcus anginos...
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Published in | Nihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 36; no. 7; pp. 1265 - 1269 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
2016
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine |
Subjects | |
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ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.36.1265 |
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Summary: | 肝膿瘍は通常,何らかの疾患に合併して発生する。まれに肝膿瘍を契機に大腸癌が発見されることがある。上行結腸癌の化学療法中に肝膿瘍を合併した1例を報告する。症例は64歳の男性で,上行結腸の腫瘤性病変のため当院へ紹介となり,進行上行結腸癌と診断した。術後再発リスクを下げる目的でCapecitabine/Oxaliplatin plus Bevacizumabによる化学療法を開始した。3コース目に発熱を認めていたが,全身状態は良好であった。4コース後の造影CTで肝右葉に肝膿瘍が指摘された。肝膿瘍は経皮経肝膿瘍ドレナージと抗生剤治療で改善した。膿瘍の細菌培養ではStreptococcus anginosusが検出された。大腸癌の化学療法中の肝膿瘍の発生はこれまでに報告がなく,非常にまれであるが,発熱を認めたときは肝膿瘍の可能性を念頭において診療を行う必要がある。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.36.1265 |