漢方薬と西洋薬の消化管吸収過程における相互作用に関する研究

わが国において, 漢方薬は中等度で広範な治療効果をもたらすことに加え, 西洋薬よりも比較的副作用の発生率が低いと考えられているため繁用されてきた. また, 昨今の健康ブームから漢方薬は安全なものと誤認識され, 健康食品, 医薬部外品等として繁用されている. 医療機関においても, 糖尿病を始めとする生活習慣病の有病者数の増大や疾患の多様化から多くの薬剤の併用を余儀なくされている患者が多くなっていることが背景となり, 漢方製剤は種々の慢性疾患あるいは急性疾患の治療に西洋薬とともに使用されるケースが増加している. 近年, 国内において小柴胡湯との相互作用と考えられるインターフェロン投与による間質性肺...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 125; no. 4; pp. 363 - 369
Main Author 西村, 信弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.04.2005
日本薬学会
Online AccessGet full text
ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.125.363

Cover

More Information
Summary:わが国において, 漢方薬は中等度で広範な治療効果をもたらすことに加え, 西洋薬よりも比較的副作用の発生率が低いと考えられているため繁用されてきた. また, 昨今の健康ブームから漢方薬は安全なものと誤認識され, 健康食品, 医薬部外品等として繁用されている. 医療機関においても, 糖尿病を始めとする生活習慣病の有病者数の増大や疾患の多様化から多くの薬剤の併用を余儀なくされている患者が多くなっていることが背景となり, 漢方製剤は種々の慢性疾患あるいは急性疾患の治療に西洋薬とともに使用されるケースが増加している. 近年, 国内において小柴胡湯との相互作用と考えられるインターフェロン投与による間質性肺炎での死亡例が報告された. 1,2)さらに, セントジョーンズワート, グレープフルーツジュースによるCYPを介した相互作用が報告され, 3)漢方薬あるいは生薬と西洋薬の併用時にも相互作用に対する注意が喚起された.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.125.363