術前診断を行い腹腔鏡下に切除した特発性分節性大網梗塞の1例

症例は81歳男性。右側腹部痛を主訴に近医を受診した。触診にて圧痛あり,同部に腹膜刺激症状を認めた。腹部単純CTにて,大網の脂肪織濃度の上昇あり,急性汎発性腹膜炎の疑いとして当院に紹介された。造影CTを含めた精査の結果大網梗塞と診断した。一旦は保存的に経過をみたが,第2病日に症状増悪あり緊急手術を施行した。腹腔鏡で観察を行ったところ大網脂肪組織の壊死あり,同部を腹腔鏡下に切除した。大網梗塞は急性腹症を呈するまれな疾患である。多くは保存的加療で軽快するとされるが,症状増悪を認める場合や大網捻転の場合は外科切除の適応とされる。外科手術に際しては,腹腔鏡を用いた低侵襲手術が有用である。...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 36; no. 7; pp. 1183 - 1186
Main Authors 岡野, 美穂, 西野, 将矢, 金, 鏞国, 川田, 純司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2016
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.36.1183

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Summary:症例は81歳男性。右側腹部痛を主訴に近医を受診した。触診にて圧痛あり,同部に腹膜刺激症状を認めた。腹部単純CTにて,大網の脂肪織濃度の上昇あり,急性汎発性腹膜炎の疑いとして当院に紹介された。造影CTを含めた精査の結果大網梗塞と診断した。一旦は保存的に経過をみたが,第2病日に症状増悪あり緊急手術を施行した。腹腔鏡で観察を行ったところ大網脂肪組織の壊死あり,同部を腹腔鏡下に切除した。大網梗塞は急性腹症を呈するまれな疾患である。多くは保存的加療で軽快するとされるが,症状増悪を認める場合や大網捻転の場合は外科切除の適応とされる。外科手術に際しては,腹腔鏡を用いた低侵襲手術が有用である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.36.1183