イレウスに対する腹腔鏡下手術の適応
単純性イレウス43例に腹腔鏡手術を施行し,その適応と手術成績を検討した。43例中28例に開腹歴があり,15例は開腹歴がなかった。開腹歴のある28例中2例(7.0%)に悪性腫瘍が合併していたのに対し開腹歴のない15例中6例(40.0%)に悪性腫瘍が合併していた。開腹歴のある症例に対しては,21例(75.0%)に癒着剥離を,7例(25.0%)に腸管切除を行った。開腹歴のない症例に対しては,2例(13.3%)に癒着剥離,10例(66.7%)に腸管切除を行った。術前の腸管減圧,責任部位の同定,癒着の程度と手術成績との関連を検討した結果,癒着の程度は開腹移行,腸管損傷,術後合併症と相関が認められた。術前...
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Published in | Nihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 28; no. 1; pp. 47 - 52 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
2008
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine |
Subjects | |
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ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.28.47 |
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Summary: | 単純性イレウス43例に腹腔鏡手術を施行し,その適応と手術成績を検討した。43例中28例に開腹歴があり,15例は開腹歴がなかった。開腹歴のある28例中2例(7.0%)に悪性腫瘍が合併していたのに対し開腹歴のない15例中6例(40.0%)に悪性腫瘍が合併していた。開腹歴のある症例に対しては,21例(75.0%)に癒着剥離を,7例(25.0%)に腸管切除を行った。開腹歴のない症例に対しては,2例(13.3%)に癒着剥離,10例(66.7%)に腸管切除を行った。術前の腸管減圧,責任部位の同定,癒着の程度と手術成績との関連を検討した結果,癒着の程度は開腹移行,腸管損傷,術後合併症と相関が認められた。術前の腸管減圧は開腹移行と腸管損傷に相関があった。責任部位の同定は腸管損傷と関連があった。以上より単純性イレウスのうち術前に腸管減圧が行われ,責任部位を同定し得た症例は腹腔鏡手術のよい適応と考えられる。しかし(1)高度癒着症例は開腹移行を躊躇しない。(2)デバイスの特性を理解し愛護的操作を行う。(3)手術終了前に全小腸を観察する。などの点に留意すべきである。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.28.47 |