肺癌小腸転移による腸重積症の1例

症例は55歳,男性。肺と副腎に腫瘤を指摘され近医で精査を予定されていたところ,貧血のため緊急入院となった。間欠的な腹痛を認め,CT検査で腸重積症と診断され当院紹介となった。CTでは2ヵ所の腸重積を認め,いずれも先進部に腫瘍の存在が疑われた。右肺上葉には原発巣と思われる腫瘤を認め,左副腎転移を伴っていた。肺癌小腸転移による腸重積症と診断し緊急手術を行った。空腸に1ヵ所重積を認め,また上部空腸を中心に計5個の転移性腫瘍が確認された。重積を用手的に整復し小腸部分切除術を施行した。術後経過は良好であったがさらなる精査・加療の希望なく術後49日目に癌死した。転移性小腸腫瘍は重積・出血・穿孔などの腹部救急...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 34; no. 8; pp. 1509 - 1512
Main Authors 磯崎, 哲朗, 当間, 雄之, 宮内, 英聡, 大平, 学, 久保嶋, 麻里, 米山, 泰生, 松原, 久裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2014
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Summary:症例は55歳,男性。肺と副腎に腫瘤を指摘され近医で精査を予定されていたところ,貧血のため緊急入院となった。間欠的な腹痛を認め,CT検査で腸重積症と診断され当院紹介となった。CTでは2ヵ所の腸重積を認め,いずれも先進部に腫瘍の存在が疑われた。右肺上葉には原発巣と思われる腫瘤を認め,左副腎転移を伴っていた。肺癌小腸転移による腸重積症と診断し緊急手術を行った。空腸に1ヵ所重積を認め,また上部空腸を中心に計5個の転移性腫瘍が確認された。重積を用手的に整復し小腸部分切除術を施行した。術後経過は良好であったがさらなる精査・加療の希望なく術後49日目に癌死した。転移性小腸腫瘍は重積・出血・穿孔などの腹部救急症状を呈することがある。悪性腫瘍終末期の場合は手術適応の判断に迷うが,肺癌では数ヵ月の予後が期待でき切除を考慮してよいと思われた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.34.1509