注腸造影で整復し得た成人特発性腸重積症の1例

症例は62歳,女性。2日前からの間欠的腹痛を主訴に受診した。腹部超音波検査や造影CT検査で横行結腸に腸管の嵌入像を認め腸重積症と診断した。大腸内視鏡検査では,重積腸管の先進部にびらんを認めるものの,明らかな腫瘍性病変は認めなかった。注腸造影検査で容易に整復が得られた。整復から7日後に施行した大腸内視鏡検査では,重積部には全周性の潰瘍を認めるのみであり,成人特発性腸重積症と診断し経過観察とした。以後9年間,腸重積の再発は認めていない。成人腸重積症の約90%は器質的疾患を伴うとされ,特発性腸重積症はまれな病態である。整復後に器質的疾患を認めなければ,追加治療は不要である。腸重積症は可能な限り内視鏡...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 37; no. 4; pp. 657 - 660
Main Authors 呉林, 秀崇, 田中, 雄亮, 斎藤, 健一郎, 三井, 毅, 杉田, 浩章, 宗本, 義則, 高嶋, 吉浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2017
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.37.657

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Summary:症例は62歳,女性。2日前からの間欠的腹痛を主訴に受診した。腹部超音波検査や造影CT検査で横行結腸に腸管の嵌入像を認め腸重積症と診断した。大腸内視鏡検査では,重積腸管の先進部にびらんを認めるものの,明らかな腫瘍性病変は認めなかった。注腸造影検査で容易に整復が得られた。整復から7日後に施行した大腸内視鏡検査では,重積部には全周性の潰瘍を認めるのみであり,成人特発性腸重積症と診断し経過観察とした。以後9年間,腸重積の再発は認めていない。成人腸重積症の約90%は器質的疾患を伴うとされ,特発性腸重積症はまれな病態である。整復後に器質的疾患を認めなければ,追加治療は不要である。腸重積症は可能な限り内視鏡検査や注腸造影検査といった原因検索を行い,治療方針を検討するべきと考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.37.657