腹腔鏡下幽門側胃切除Billroth Ⅱ法再建後に乳糜腹水を伴う内ヘルニア・小腸軸捻転を発症した1例

症例は76歳の女性。2年前に胃癌に対して腹腔鏡下幽門側胃切除術をBillroth Ⅱ法(以下,B―Ⅱ)再建・結腸前経路で施行した。背部痛と嘔気を主訴に救急搬送され,CTでB―Ⅱ再建輸出脚小腸の内ヘルニアと軸捻転の所見,腹水の出現を認めたため緊急手術を施行した。術中所見では腹腔内に乳白色の腹水を認め,結腸前経路のB―Ⅱで再建された挙上空腸と横行結腸間膜との間隙に輸出脚小腸が内ヘルニアを起こし軽度の捻転も認めた。内ヘルニアと捻転の解除を行い,腸管虚血所見は認めなかったため腸切除は行わず手術終了とした。本邦における胃切除後の乳糜腹水を伴う内ヘルニア発症例は6例のみとまれであり,B―Ⅱ再建後の症例は本...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 37; no. 3; pp. 479 - 482
Main Authors 斎藤, 健一郎, 三井, 毅, 杉田, 浩章, 奥出, 輝夫, 宗本, 義則, 高嶋, 吉浩, 島田, 雅也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2017
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.37.479

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Summary:症例は76歳の女性。2年前に胃癌に対して腹腔鏡下幽門側胃切除術をBillroth Ⅱ法(以下,B―Ⅱ)再建・結腸前経路で施行した。背部痛と嘔気を主訴に救急搬送され,CTでB―Ⅱ再建輸出脚小腸の内ヘルニアと軸捻転の所見,腹水の出現を認めたため緊急手術を施行した。術中所見では腹腔内に乳白色の腹水を認め,結腸前経路のB―Ⅱで再建された挙上空腸と横行結腸間膜との間隙に輸出脚小腸が内ヘルニアを起こし軽度の捻転も認めた。内ヘルニアと捻転の解除を行い,腸管虚血所見は認めなかったため腸切除は行わず手術終了とした。本邦における胃切除後の乳糜腹水を伴う内ヘルニア発症例は6例のみとまれであり,B―Ⅱ再建後の症例は本症例のみであった。腹水を伴う内ヘルニアや小腸軸捻転には発症早期の手術が必要であるが,乳糜腹水の出現は腸管血流が保たれていることが多く,腸管切除を回避できることを示唆する所見の1つであると考えられる。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.37.479