消化器がん患者の治療と仕事の両立支援に関する介入 システマティックレビュー

【目的】 消化器がん(食道がん・胃がん)は40代以降の就労世代で多く罹患する疾患の1つである。特に胃がんは罹患数、死亡数共に全がん種のうち国内第3位となっている。近年では、食の欧米化を背景に消化器がんは増加傾向にあるものの、治療技術の進歩によって消化器がんの死亡数自体は減少傾向となっている。したがって、治療と仕事の両立支援 (両立支援)ニーズが今後高まってくることが予想される。そこで本研究の目的は、就労世代における消化器がん患者の復職及び就労継続に関する介入を文献調査にて抽出し、必要な両立支援を検討することである。 【方法】 キーワードを用いPubMed のデータベースを使用した。研究者 2...

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Published inJapanese Society of physical therapy for prevention (supplement) Vol. 2.Suppl.No.1; p. 389
Main Authors 村上, 武史, 樋口, 周人, 高木, 絵理子, 舩津, 康平, 佐伯, 覚, 立石, 清一郎, 久原, 聡志, 原田, 有理沙
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本予防理学療法学会 31.03.2024
Japanese Society of physical therapy for prevention
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ISSN2758-7983
DOI10.57304/jsptpsuppl.2.Suppl.No.1.0_389

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Summary:【目的】 消化器がん(食道がん・胃がん)は40代以降の就労世代で多く罹患する疾患の1つである。特に胃がんは罹患数、死亡数共に全がん種のうち国内第3位となっている。近年では、食の欧米化を背景に消化器がんは増加傾向にあるものの、治療技術の進歩によって消化器がんの死亡数自体は減少傾向となっている。したがって、治療と仕事の両立支援 (両立支援)ニーズが今後高まってくることが予想される。そこで本研究の目的は、就労世代における消化器がん患者の復職及び就労継続に関する介入を文献調査にて抽出し、必要な両立支援を検討することである。 【方法】 キーワードを用いPubMed のデータベースを使用した。研究者 2 名が独立し、該当 した英語文献について文献選別を行った。意見が分かれた場合、第3 者との協議を行った。包含基準は研究デザインが無作為化 比較試験、非無作為化比較試験などの介入研究、観察研究で、対象者が消化器がんの診断時に有給雇用の可能性がある18歳以上、介入方法が復職及び就労継続に影響する要因及び障壁への対処(職場での調整、身体的活動、手術、多職種連携)への介入とした。除外基準はレター等の一般的論文体裁を成さないもの、レビュー論文、就労能力未獲得の患者へのアプローチ、リスク要因の検討のみの論文とした。 【結果】 キーワードを用いた検索の結果、PubMed で1171 編がヒットした。タイトル及びアブストラクトから今回の目的に該当する文献は29 編に絞られ、本文の詳細な検討により計5編が抽出された。内訳では、リハビリテーションに関与するものは2 編、病気休暇や時短勤務制度などに関するものが1編、両立支援的介入が1編、手術に関するものが1編であり、介入は4編が医療機関で、1編が職場で行なわれているものであった。アウトカムは復職までの日数が3 編、参加者のインタビュー内容が1編、健康関連QOL が1 編であった。 【考察】 消化器がん患者に対する介入手段として、リハビリテーションが関与しているものが2編と最も多い結果となった。主要アウトカムに関しては復職までの日数が3編と最も多く、胃がん患者の復職ニーズが高いことが伺える結果となった。しかし、胃がん患者に対する両立支援的介入の報告は少ないため、今後は復職及び就労継続をアウトカムとしたリハビリテーションを含んだ両立支援介入の考案が必要である。
Bibliography:SP-01-2
ISSN:2758-7983
DOI:10.57304/jsptpsuppl.2.Suppl.No.1.0_389