メカノ医工学を駆使した再生医療・生殖医療への展開

近年メカノバイオロジーを基盤とした研究手法は、様々な疾患の成因解明と治療法開発というメカノメディスンへと昇華し始めている。本講演はメカノ再生医療とメカノ生殖医療のトランスレーショナルリサーチの展開による、臨床利用可能な革新的次世代メカノ医療技術について紹介する。やけどなど皮膚の損傷に対し再生医療の応用が期待されている。我々は独自に開発した細胞培養器を用い、表皮角化細胞と皮膚線維芽細胞の共培養を行って伸展刺激を付加したところ、表皮層の増高と基底膜形成の促進が認められた。また心不全患者に対しては心臓再生医療の応用が期待されている。心臓再生医療では、幹細胞に対する伸展刺激は細胞分化能や生着性を変化さ...

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Published in生体医工学 Vol. 55Annual; no. 4PM-Abstract; p. 340
Main Authors 高橋, 賢, 王, 英正, 入部, 玄太郎, 松浦, 宏治, 成瀬, 恵治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2017
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Summary:近年メカノバイオロジーを基盤とした研究手法は、様々な疾患の成因解明と治療法開発というメカノメディスンへと昇華し始めている。本講演はメカノ再生医療とメカノ生殖医療のトランスレーショナルリサーチの展開による、臨床利用可能な革新的次世代メカノ医療技術について紹介する。やけどなど皮膚の損傷に対し再生医療の応用が期待されている。我々は独自に開発した細胞培養器を用い、表皮角化細胞と皮膚線維芽細胞の共培養を行って伸展刺激を付加したところ、表皮層の増高と基底膜形成の促進が認められた。また心不全患者に対しては心臓再生医療の応用が期待されている。心臓再生医療では、幹細胞に対する伸展刺激は細胞分化能や生着性を変化させて細胞治療の効果を改善すると考えられてきたが、幹細胞より直接遊離するエクソソームが様々なパラクライン因子やmicro RNAを分泌することで、in vivoでの細胞移植治療の効果を向上させていることが明らかとなった。生殖補助医療においては、体外受精卵の生育率の低さが大きな問題である。我々は受精卵にメカニカルストレスを付加する傾斜胚培養システムを用いて受精卵培養したところ、受精卵の胚盤胞到達率が静置培養区と比較して向上した。遺伝子発現網羅的解析の結果から、この現象は胚盤葉上層の遺伝子発現変化に起因することが示唆された。今後も各分野における機械刺激応答のメカニズム解明に注力するとともに、メカノ医療技術の臨床応用を進めていく。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.55Annual.340