抗血小板薬内服中に排便時の努責を契機に発症したと考えられた特発性脾臓破裂の1例

症例は81歳男性。既往に脳梗塞,虫垂炎,直腸癌がありアスピリンを内服している。夜間排便後からの左腰背部痛を主訴に外来受診した。検査の結果,日本外傷学会臓器損傷分類Ⅲb型の脾臓破裂と診断,緊急手術を行った。術中所見では脾臓被膜および実質の破裂と破裂箇所からの出血を認め脾臓摘出術を行った。術後経過は良好で術後6日目に退院となった。その後精査を行ったが脾臓破裂の原因となる基礎疾患は認められず,摘出した脾臓にも異常所見を認めなかったことから,抗血小板薬内服中の強い努責を契機に発症した特発性脾臓破裂と診断した。特発性脾臓破裂はまれな病態であるが,抗血小板療法や強い腹圧を契機に生じうることは念頭におく必要...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 37; no. 5; pp. 755 - 758
Main Authors 山川, 純一, 宮崎, 敬太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2017
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Summary:症例は81歳男性。既往に脳梗塞,虫垂炎,直腸癌がありアスピリンを内服している。夜間排便後からの左腰背部痛を主訴に外来受診した。検査の結果,日本外傷学会臓器損傷分類Ⅲb型の脾臓破裂と診断,緊急手術を行った。術中所見では脾臓被膜および実質の破裂と破裂箇所からの出血を認め脾臓摘出術を行った。術後経過は良好で術後6日目に退院となった。その後精査を行ったが脾臓破裂の原因となる基礎疾患は認められず,摘出した脾臓にも異常所見を認めなかったことから,抗血小板薬内服中の強い努責を契機に発症した特発性脾臓破裂と診断した。特発性脾臓破裂はまれな病態であるが,抗血小板療法や強い腹圧を契機に生じうることは念頭におく必要があると考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.37.755