言語性ワーキングメモリのfMRIによる検討-加齢が前部帯状回 (ACC)-前頭前野 (PFC) ネットワークに及ぼす影響

言語性ワーキングメモリの個人差に影響を与えていることが知られている前部帯状回 (anterior cingulate cortex : ACC) と前頭前野 (prefrontal cortex : PFC) 間の脳内ネットワークに対する加齢の影響を検討した.機能的磁気共鳴画像法 (fMRI) を用いて, 言語性ワーキングメモリの個人差を測定するリーディングスパンテスト (RST) を遂行中の若年者と高齢者の脳活動を比較した.その結果, 高齢者はACCとPFCの信号変化の時系列相関が若年者よりも有意に低く, ACCとPFCの間の機能的結合性が加齢の影響で弱くなっていることが示された.以上の結果...

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Published in生理心理学と精神生理学 Vol. 23; no. 1; pp. 11 - 18
Main Authors 大塚, 結喜, 苧阪, 直行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理心理学会 2005
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ISSN0289-2405
2185-551X
DOI10.5674/jjppp1983.23.11

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Summary:言語性ワーキングメモリの個人差に影響を与えていることが知られている前部帯状回 (anterior cingulate cortex : ACC) と前頭前野 (prefrontal cortex : PFC) 間の脳内ネットワークに対する加齢の影響を検討した.機能的磁気共鳴画像法 (fMRI) を用いて, 言語性ワーキングメモリの個人差を測定するリーディングスパンテスト (RST) を遂行中の若年者と高齢者の脳活動を比較した.その結果, 高齢者はACCとPFCの信号変化の時系列相関が若年者よりも有意に低く, ACCとPFCの間の機能的結合性が加齢の影響で弱くなっていることが示された.以上の結果から, 高齢者の言語性ワーキングメモリが衰退する原因はACCとPFCの間のネットワークが加齢の影響で劣化していることにある可能性が示された.
ISSN:0289-2405
2185-551X
DOI:10.5674/jjppp1983.23.11