慢性関節リウマチ膝における前十字靭帯脛骨付着部の病理組織学的研究

目的: 慢性関節リウマチ (RA) におけるenthesisの病態および変化を検討する目的でRA膝の前十字靭帯 (ACL) 脛骨付着部の病理組織学的検索を行った.対象・方法: 36-71歳 (平均57.4歳 男4・女21) の25RA膝から人工膝関節全置換術の際にACLを脛骨付着部をつけて採取し, 薄切切片標本を作製した. HE・Pentachrome染色後, 病理組織学的に検索し, 術中所見・X線所見と比較検討した. 対照として同様に採取した変形性膝関節症 (OA) 20膝を用いた.評価方法: 病理組織所見の評価としてはRAでみられた5項目の所見を点数化し合計点数が高いほど高度の変性を示すよ...

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Published in順天堂医学 Vol. 43; no. 2; pp. 244 - 254
Main Author 川北, 剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 順天堂医学会 16.09.1997
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ISSN0022-6769
2188-2134
DOI10.14789/pjmj.43.244

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Summary:目的: 慢性関節リウマチ (RA) におけるenthesisの病態および変化を検討する目的でRA膝の前十字靭帯 (ACL) 脛骨付着部の病理組織学的検索を行った.対象・方法: 36-71歳 (平均57.4歳 男4・女21) の25RA膝から人工膝関節全置換術の際にACLを脛骨付着部をつけて採取し, 薄切切片標本を作製した. HE・Pentachrome染色後, 病理組織学的に検索し, 術中所見・X線所見と比較検討した. 対照として同様に採取した変形性膝関節症 (OA) 20膝を用いた.評価方法: 病理組織所見の評価としてはRAでみられた5項目の所見を点数化し合計点数が高いほど高度の変性を示すように試みた. また術中ACLの肉眼所見を3群に分類し, X線分類としてLarsenの分類および顆間隆起の形状を4群に分類したものを用いた.結果: 靭帯骨付着部は組織学的に靭帯層・非石灰化線維軟骨層・石灰化線維軟骨層, および骨層に分けられたが, RAではOAに比べその4層構造が乱れる傾向にあり, tidemarkの消失, リンパ球浸潤, 骨への線維性肉芽組織の侵入, 未分化な間葉系細胞の増生, フィブリンの析出, 骨層板の菲薄化などがみられた. 肉眼所見との比較では, ACLの実質の変化が強いものはその骨付着部の破壊も強かった. X線所見と病理組織像には明らかな関連性はみられなかった.結論: RA膝のenthesisの変化は炎症を伴った骨吸収の坑進に基づく病態であった.
ISSN:0022-6769
2188-2134
DOI:10.14789/pjmj.43.244