絞扼性イレウスをきたした成人発症小腸間膜裂孔ヘルニアの1例

54歳,女性。腹痛,嘔吐を主訴に救急外来受診。臍部を中心に腹部全体に圧痛を認めるも,Blumberg徴候および筋性防御は陰性であった。腹部造影CT検査で,腹水貯留に加え,回腸末端付近の小腸にwhirl signを伴う一部造影不良域を認めたため,絞扼性イレウスの疑いで同日緊急手術を施行した。腹腔鏡で腹腔内を観察したところ,壊死腸管を広範囲に認め,腹腔鏡での安全な絞扼の解除は困難と判断し,開腹手術に移行した。回腸末端付近の小腸間膜に約3cm大の裂孔を認め,同部位に小腸が嵌入捻転し壊死に陥っていた。小腸間膜裂孔ヘルニアに伴う絞扼性イレウスと診断し,壊死小腸の部分切除術を施行した。術後経過良好で,第1...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 37; no. 3; pp. 521 - 524
Main Authors 渡辺, 誠, 青木, 武士, 五藤, 哲, 藤森, 聰, 大塚, 耕司, 山崎, 達哉, 村上, 雅彦, 草野, 智一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2017
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.37.521

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Summary:54歳,女性。腹痛,嘔吐を主訴に救急外来受診。臍部を中心に腹部全体に圧痛を認めるも,Blumberg徴候および筋性防御は陰性であった。腹部造影CT検査で,腹水貯留に加え,回腸末端付近の小腸にwhirl signを伴う一部造影不良域を認めたため,絞扼性イレウスの疑いで同日緊急手術を施行した。腹腔鏡で腹腔内を観察したところ,壊死腸管を広範囲に認め,腹腔鏡での安全な絞扼の解除は困難と判断し,開腹手術に移行した。回腸末端付近の小腸間膜に約3cm大の裂孔を認め,同部位に小腸が嵌入捻転し壊死に陥っていた。小腸間膜裂孔ヘルニアに伴う絞扼性イレウスと診断し,壊死小腸の部分切除術を施行した。術後経過良好で,第10病日に退院となった。成人発症の小腸間膜裂孔ヘルニアは比較的まれな疾患であり,文献的考察を含め報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.37.521