肝損傷に伴うnonsurgical pneumoperitoneumの1例

症例は19歳,男性。7mの高所での作業中に誤って墜落した。受診時は意識清明でバイタルサインも安定していた。CTで肝外側区域の深在性損傷と造影剤の血管外漏出を認め,肝損傷Ⅲbと診断した。肝損傷に対し,カテーテル塞栓術を行い,出血源の責任肝動脈枝を塞栓した。受傷2病日に38℃の発熱を認め,CTで左横隔膜下から胃小弯近傍に貯留する血腫および腹腔内遊離ガスを認めた。受傷3病日には腹痛が増強し腹膜刺激症状を呈したため,消化管穿孔が否定できず緊急手術を施行した。術中所見では明らかな消化管穿孔を認めず,挫滅した肝S2の部分切除と洗浄ドレナージを施行した。気腹の原因は明らかではないが,肝損傷部の胆道系からのガ...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 36; no. 5; pp. 923 - 926
Main Authors 廣瀬, 雄己, 田島, 陽介, 大橋, 拓, 小林, 隆, 須藤, 翔, 堅田, 朋大, 若井, 俊文, 滝沢, 一泰, 皆川, 昌広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2016
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.36.923

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Summary:症例は19歳,男性。7mの高所での作業中に誤って墜落した。受診時は意識清明でバイタルサインも安定していた。CTで肝外側区域の深在性損傷と造影剤の血管外漏出を認め,肝損傷Ⅲbと診断した。肝損傷に対し,カテーテル塞栓術を行い,出血源の責任肝動脈枝を塞栓した。受傷2病日に38℃の発熱を認め,CTで左横隔膜下から胃小弯近傍に貯留する血腫および腹腔内遊離ガスを認めた。受傷3病日には腹痛が増強し腹膜刺激症状を呈したため,消化管穿孔が否定できず緊急手術を施行した。術中所見では明らかな消化管穿孔を認めず,挫滅した肝S2の部分切除と洗浄ドレナージを施行した。気腹の原因は明らかではないが,肝損傷部の胆道系からのガスが腹腔内に入ったことなどが推測された。腹腔内遊離ガスの存在下では,肝損傷に由来する胆汁性腹膜炎と消化管穿孔による腹膜炎の鑑別は困難であった。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.36.923