膜タンパク質の機能評価に向けたゲル支持二重膜パターニング法の開発

膜タンパク質は創薬における主要なターゲットである.膜タンパク質の機能を評価するためには,脂質二重膜内に膜タンパク質を挿入する必要がある.現在まで,様々な脂質二重膜の形成手法が開発されているが,簡便かつ高精度な脂質二重膜パターンの形成と挿入された膜タンパク質の機能維持を両立することは困難であった.本研究では,脂質二重膜の簡便かつ高精度な形成手法の開発を目指し,自発展開法と呼ばれる脂質二重膜の形成手法がハイドロゲル上においても有効であることを確認した.最初に,ポリジメチルシロキサンを加工して形成した鋳型を用いて,ストライプ状にアガロースゲルを成型した.次に,リン脂質DPhPCと蛍光標識したリン脂質...

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Published in生体医工学 Vol. 55Annual; no. 5PM-Abstract; p. 449
Main Authors 榛葉, 健太, 庄司, 一真, 宮本, 義孝, 八木, 透
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2017
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Summary:膜タンパク質は創薬における主要なターゲットである.膜タンパク質の機能を評価するためには,脂質二重膜内に膜タンパク質を挿入する必要がある.現在まで,様々な脂質二重膜の形成手法が開発されているが,簡便かつ高精度な脂質二重膜パターンの形成と挿入された膜タンパク質の機能維持を両立することは困難であった.本研究では,脂質二重膜の簡便かつ高精度な形成手法の開発を目指し,自発展開法と呼ばれる脂質二重膜の形成手法がハイドロゲル上においても有効であることを確認した.最初に,ポリジメチルシロキサンを加工して形成した鋳型を用いて,ストライプ状にアガロースゲルを成型した.次に,リン脂質DPhPCと蛍光標識したリン脂質Fluorescein-eggPCを混合した脂質塊をゲル上に塗布し,自発的に脂質膜が展開することを確認した.さらに,脂質膜内で分子の側方拡散が起こることを確認するために,形成された脂質膜において蛍光退色部位の蛍光輝度が時間経過に伴って回復する現象を,FRAP法を用いて評価した.以上の実験から,脂質二重膜がハイドロゲル上に形成されたことが確認された.本研究では,ハイドロゲルの形成に幅0.7mmの鋳型を用いたが,さらに小さなパターンを有する鋳型を用いることで,高精細な脂質二重膜パターニングを行うことができると期待される.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.55Annual.449