非穿孔性急性虫垂炎による敗血症性DICの診断にプロカルシトニンが有用であった1例

症例は72歳男性,軽度の腹痛と全身倦怠感を主訴に受診した。来院時のvital signは体温37.4℃,収縮期血圧102mmHg,脈拍72回/分であった。血液検査では白血球数8,600/μL,CRP 5.9mg/dLと軽度の炎症反応上昇を認めた。腹部CTで糞石を伴う非穿孔性急性虫垂炎と診断し,緊急手術を施行した。術前プロカルシトニン(以下,PCT)は53.4ng/mLであった。麻酔導入時より敗血症性ショックを呈し,術後にdisseminated intravascular coagulation(播種性血管内凝固症候群:以下,DIC)を併発した。集学的治療を行い,術後15日目に退院した。非穿孔...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 35; no. 4; pp. 509 - 513
Main Authors 西原, 佑一, 尾本, 健一郎, 磯部, 陽
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2015
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Summary:症例は72歳男性,軽度の腹痛と全身倦怠感を主訴に受診した。来院時のvital signは体温37.4℃,収縮期血圧102mmHg,脈拍72回/分であった。血液検査では白血球数8,600/μL,CRP 5.9mg/dLと軽度の炎症反応上昇を認めた。腹部CTで糞石を伴う非穿孔性急性虫垂炎と診断し,緊急手術を施行した。術前プロカルシトニン(以下,PCT)は53.4ng/mLであった。麻酔導入時より敗血症性ショックを呈し,術後にdisseminated intravascular coagulation(播種性血管内凝固症候群:以下,DIC)を併発した。集学的治療を行い,術後15日目に退院した。非穿孔性急性虫垂炎から敗血症性DICを呈する症例は極めてまれである。PCTが白血球数やCRPよりも急性虫垂炎の重症度を正確に反映する可能性が示唆され,文献的考察を加え報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.35.509