頸部皮下気腫を伴った結腸憩室穿孔の1例

症例は66歳の女性。顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis:MPA)のため,当院内科でステロイドの内服治療中であった。1週間前から続く全身倦怠感,下腹部痛,頸部痛を主訴に来院した。腹部は軽度の圧痛のみであったが,頸部から前胸部上部にかけて,顕著な皮下気腫を認めた。気腫の原因検索を目的に全身CTを施行したところ,S状結腸腸間膜内の膿瘍形成と,S状結腸周囲から後腹膜,さらに縦隔,頸部にまで拡がる気腫がみられた。S状結腸部での腸間膜側への穿孔と,それに伴う広範囲な気腫と診断し,緊急手術を施行した。腸管の後腹膜穿孔では,腹腔内穿孔に比べ,臨床所見に乏しく,診断が困難とされ...

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Bibliographic Details
Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 37; no. 3; pp. 483 - 487
Main Authors 三井, 章, 上田, 悟郎, 高須, 惟人, 早川, 俊輔, 桑原, 義之, 榊原, 堅式
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2017
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.37.483

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Summary:症例は66歳の女性。顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis:MPA)のため,当院内科でステロイドの内服治療中であった。1週間前から続く全身倦怠感,下腹部痛,頸部痛を主訴に来院した。腹部は軽度の圧痛のみであったが,頸部から前胸部上部にかけて,顕著な皮下気腫を認めた。気腫の原因検索を目的に全身CTを施行したところ,S状結腸腸間膜内の膿瘍形成と,S状結腸周囲から後腹膜,さらに縦隔,頸部にまで拡がる気腫がみられた。S状結腸部での腸間膜側への穿孔と,それに伴う広範囲な気腫と診断し,緊急手術を施行した。腸管の後腹膜穿孔では,腹腔内穿孔に比べ,臨床所見に乏しく,診断が困難とされる。本例では,長期のステロイド治療もあり,さらに臨床所見が軽微であったと思われた。また,結腸の穿孔で頸部に皮下気腫をきたすことは比較的まれであり,本邦報告例を含めて検討した。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.37.483